文部科学省は、小中学校の「道徳」が2018年から教科に格上げされることに伴い、新しい「学習指導要領案」を文部科学省の公式サイトで公表した。3月5日までこの案に対する国民の意見(パブリックコメント)を募集した後、修正して3月下旬に告示する。

今回の指導要領案では、「愛国心」に関する教育の開始を現行の小学校3年から1年に繰り上げて実施する。また、道徳教育見直しの大きなきっかけとなった「いじめ」防止の観点から、各学年の指導方針には「自分の好き嫌いにとらわれないで接すること」(小1、小2)といった新たな項目も盛り込まれている。

これまで道徳科目に対しては「評価になじまない」とされて成績評価がされなかった。そのため、現場の判断で授業が別の教科に振り替えられることが全国的に問題になっていた。教科化されることで記述式での評価が行われる予定であるため、確実に授業が行われることが期待できる。

しかし、文科省は「教員が価値観を押し付けることを防ぎたい」として、子供同士の議論を通じた「問題解決学習」などを推奨し、「考える道徳」を目指すという。教員の「価値判断」を避けるという姿勢は変わらない。

基準なしに話し合いをすれば、何が「善」で何が「悪」かが議論次第で変わりかねない。「多数決」が正義となれば、大勢による少人数へのいじめを防ぐことはできないだろう。

道徳の授業では「皆と仲良くしなければならない」「人をいじめてはいけない」「人を傷つけてはいけない」という原則が教えられるが、それが「なぜか」については教えられていない。道徳の根源である、「なぜか」という部分を教えるのは宗教の役割だ。

全ての人の本体は魂であり、その魂は神仏に創造されたこと。人は皆、魂を磨くために、時代や場所を変えて転生輪廻していること。良いことをした人は死んだ後天国に行き、悪いことをしたら地獄に行くこと――。ある行為が善か悪かを考えるには、こうした宗教的な真実を知ることが前提になるだろう。

悪質ないじめや被害者の自殺、児童生徒による凶悪犯罪を防ぐためにも、第二次世界大戦後の日本の教育から徹底的に排除された「宗教」の意義について見直す必要がある。(晴)

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