「脳についてわかったすごいこと」と題して、ジャーナリストでノンフィクション作家の立花隆氏のインタビューが、「文藝春秋」4月号に掲載されている。

「意識とは何か」という謎について、アメリカやカナダなど6カ国を訪れて脳科学者や夢研究の専門家を取材した内容を、NHKチーフプロデューサーの岡田朋敏氏との対談形式で紹介したものだ。昨年9月に放送されたNHKスペシャル「臨死体験 死ぬとき心はどうなるのか」もその取材の一部だという。

一体、脳について、どんなすごいことがわかったのか。

記事では、神経細胞の働きと意識現象の相関関係を調べるアレン脳科学研究所所長のクリストフ・コッホ博士や、脳の働きのうち、電気的な信号のやりとりだけではなく、化学物質の分泌について調べるミシガン大学准教授のジモ・ボルジギン氏の研究、そして、明晰夢を見ている時の脳波や血流を調べる明晰夢研究所所長のスティーヴン・ラバージ博士の研究などが紹介されている。たしかに、これらの専門家たちの研究は、興味深いものではある。

しかし、臨死体験研究の第一人者で、本誌でもインタビューを掲載したことのあるレイモンド・ムーディー博士が、「死後の世界」に否定的だった20年前とは立場を変え、現在は「死後の世界はある」ことを確信しているという話が出てくると、途端に会話が迷路に迷い込んでしまったような印象を受ける。

その理由は、立花氏も岡田氏も、「意識は脳にある」と信じており、それ以外の可能性を考えることができないからだろう。

臨死体験の中には、「意識は脳にある」としたら起こりえないような事例がたくさんある。本人が知るはずのない事実を臨死体験として語ったり、死に瀕した患者が先に亡くなった親類と話しているところを医者が目撃し、その通りのことを後日臨死体験として患者が語ったという例もある。これらは、「死後の世界はある」としなければ、論理的に説明できない。

立花氏は結びの言葉の中で、「科学がどれほど進んでも、新たに『分からない』ことが出てくる。この『分からなさ』は、自分が死を巡る哲学で悩んでいた若い頃の『分からなさ』と実は大差がないように思います」と述べている。

「脳についてわかったすごいこと」というタイトルなのに、結論は「分からない」というのもどうかと思うが、これは立花氏の正直な気持ちかもしれない。

しかし、「分からない」のは、単に、「意識は脳にある」という"信仰"から抜け出せないためではないか。何千年も前から人類が知っている死後の世界や転生輪廻を、膨大な知識を持っているはずの立花氏が分からないのは、とても悲しいことだ。(紘)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『本当に心は脳の作用か? 立花隆の「臨死体験」と「死後の世界観」を探る』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1299

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