韓国最大紙である朝鮮日報の社説(15日付電子版)に紹介されていたエピソードが興味深い。
今月9日、アメリカのある陸軍兵士が、国内線の航空機に搭乗する前、「制服の上着にシワがつかないように、ハンガーに掛けてほしい」と添乗員にお願いした。しかし、「そのようなサービスは、ビジネスクラス以上を利用する方にしか提供していない」と断られると、それを見ていた別の利用者たちが、その添乗員に抗議。ある利用者からは、「自分のビジネスクラスの席を譲る」とまで言われたほどだ。兵士は、席の提供は断ったものの、「どうか軍服だけでもきれいに掛けてほしい」と声を掛けた利用者の申し出に甘え、制服はハンガーに掛けられたという。
この話は、いかに軍人が尊敬されているのかを物語っている。実際、アメリカでは、戦死した兵士を称える「戦没者祈念日」と、兵役に服した生存者を称える「退役軍人の日」が、祝日として定められている。また、米誌フォーブスが発表する大学ランキングでは、将校を養成する陸軍士官学校が、名門ハーバード大学を超える7位にランクイン。トップレベルの学力に加え、高いモラル意識などが求められるエリート校として、人気を集めている。
エピソードを引用した朝鮮日報は、「今この瞬間にも60万人以上の兵士が敵(北朝鮮)と対峙している。(中略)軍人に対する国民の認識や態度がなぜこの程度にならないのだろうか」と落胆した。だが、軍人への尊敬心が薄い社会事情は、日本にも当てはまることだ。
仙谷由人氏が民主党の衆議院議員だった頃、「自衛隊は暴力装置」と語ったように、自衛隊には長年、"平和憲法"や自虐史観の影響などから悪いイメージが付きまとった。しかし近年、東日本大震災の災害救助などで自衛隊が活躍したことから、自衛隊への関心が高まっており、自衛隊の存在を否定する論調はほとんどなくなりつつある。
ただ、自衛隊の本来の任務である「国防」への貢献について、国民はまだまだ十分に理解していないのではないか。尖閣諸島などを狙う中国の脅威が知られてきているが、日米同盟だけではなく、自衛隊の存在が抑止力として働いている事実は見逃せない。有事には、国民を守るために生命を惜しまない自衛隊があることで、国民は平和を享受している。その意味では、日々訓練を重ねている隊員に尊敬の思いを持っても良いはずだ。
災害救助で活躍する自衛隊に対して感謝の思いを向けることはもちろん、国防を担う自衛隊を誇らしく感じられる日本でありたいものだ。(山本慧)
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