22日、野田首相主催でクウェートのサババ首長の歓迎夕食会が開かれたが、クウェート側の座席が一人分足りなかった。夕食会前に開かれた首脳会談でも座席が2人分足りず、首長の孫のクウェート政府職員ら随行員2人が会談を途中で退席している。
23日付読売新聞のベタ記事で報じられ、詳しい事情は分からないが、外国の首長や代表を迎える態度に問題があるのではないか。
先に行なわれた政府主催の東日本大震災追悼式では、台湾代表に献花の機会がなかったばかりだ。翌日の参院予算委員会で追及されると、野田首相は「本当に申し訳ない。行き届いていなかったことを深く反省したい」と陳謝した。だが、その翌日には官房長官が「問題なかった」と覆している。
台湾は東日本大震災で約200億円もの震災義援金を下さっている。この額は世界トップクラスだ。クウェートも東日本大震災後に、原油など500万バレル分を無償で提供してくれた、日本にとって恩ある国なのだ。
厚意への感謝の気持ちが本当にあったなら、こうしたお粗末過ぎる失態は起きないはずだ。恩は長く心に残るが、外交上の非礼も長く残り消えない。
野田政権の外交上の非礼が重なるのは、野田首相やその側近に「礼の心」が欠落しているからだろう。
自らを「ドジョウ」と称して腰の低いところを見せても、それは国内の政治力学でうまく立ち回ろうとするポーズにすぎないことが、この一事をもってしても分かる。
政治とは神仏の心を忖度して行うもの。神仏の代わりに政(まつりごと)をしているという謙虚さや自覚がないことが、こうした外交上の非礼となって現われているのではないか。真の「礼の心」を為政者には見せてほしいものだ。(静)
【関連記事】
2012年3月13日付本欄 台湾に対する非礼、「対応に問題なし」と官房長官