国土交通省が22日、2012年1月1日時点の全国の公示地価を発表。47都道府県全てにおいて、住宅地、商業地とも前年からマイナス。当然、全国平均も4年連続の下落とはなったが、34都道府県で下落幅が縮小するなど、地方にも地価下落に歯止めがかかる兆しが見えてきている。

しかし、肝心の福島県をはじめ東北の被災地の地価の下落傾向は、大方の予想通り、依然として深刻であり、政府としての何らかの対策の必要性を伺わせる。殊に福島県の警戒区域内の地価については、向こう10年近くは実際の土地取引の価格に値が付かないことも予想され、早急な救済措置が待たれている。

そこで提言だが、福島県の警戒区域及び被災地の沿岸部の比較的居住世帯の多い地域の一定区画を、国が震災前の地価の実勢価格で買い受け、そこに防災都市計画を民間委託で進めさせるのはいかがだろう。

津波被害が甚大な地域を中心に、役所をはじめとする公共機関、一般世帯住居、商業施設、工場・オフィス群などを混在させた巨大な高層建築を建設する。「職・住接近」の地震災害に強い防災都市を整備するというものだ。

これを期間を限定しない長期計画で実施。計画が進むに従い、順次居住移転を受け入れ、工業誘致、テナント加入を促進させる。この計画の大きな1つの効果が、持続的な雇用の確保と、派生産業が地元に根付くところにある。

これは、決して夢物語の話ではない。今すぐにも始めなければならないことであり、且つまた、後世に残す最大の防災都市としての遺産になる。そこには、「震災による悲惨さを繰り返させない」という愛がなくてはならない。

ただ、それは東北の被災地に限らず、日本列島そのものが地震と火山の巣の中にあり、人口の集中する東京などの大都市圏にこそ、その防災都市化計画の声が上がらなければならない。増税を伴わない復興と永続的な経済成長は可能である。(憲)

【参考記事】

2011年5月号記事 【東日本大震災特集】第二部 緊急提言「大震災復興プラン」大川隆法総裁「震災復興への道」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1649