国際政治学者

佐久間 拓真

(ペンネーム)
国際政治の中でも特に米中関係、インド太平洋の安全保障、中国情勢を専門にし、この分野で講演や執筆活動、現地調査などを行う。

近年、国際社会において軍事力と同等、あるいはそれ以上に国家の存立を揺るがす脅威として議論されているのが、中国による「経済的侵略」である。

巨大な経済力や国家主導の産業政策を背景に、相手国のサプライチェーンや重要インフラ、さらには土地や先端技術を巧妙に自国への依存状態へと組み込んでいくこの手法は、明確な武力衝突を伴わないがゆえに、その浸食のスピードと深刻さが外から見えにくいという特徴を持っている。

いわゆる「一帯一路」構想をはじめとする経済圏の拡大や、国家情報法を背景とした巨大資本の進出は、主権国家の経済的自立を根底から揺さぶる静かなる圧力として機能してきた。

「低コストの調達ルート」が「致命的なアキレス腱」に変貌する時

では、隣国である日本はこの巧妙な経済的脅威に対して本当に大丈夫なのかという問いを発したとき、決して楽観視できる状況にないことは明白である。

日本が直面している最大の脆弱性は、基幹産業を支えるサプライチェーンの過度な中国依存である。半導体や蓄電池、さらにはハイテク製品の製造に不可欠なレアアースなどの重要鉱物において、日本は長年にわたり中国からの輸入に深く依存し続けてきた。

中国側は、こうした経済的優位性を政治的・外交的なカードとして利用することを躊躇しない。実際に、輸出管理の厳格化や特定の品目に対する事実上の禁輸措置などを通じて、日本を含む諸外国に揺さぶりをかけてきた歴史がある。

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