スイスの聖人・ヒルティ(1833~1909年)は、内村鑑三、新渡戸稲造、夏目漱石、西田幾多郎、渡部昇一など、数多くの日本の知識人に影響を与えた。

大川隆法・幸福の科学総裁も、「私が最初に影響を受けた方」(『ヒルティの語る幸福論』)とするが、総裁は、ヒルティの先見性についてこう評している。

マルキシズムが広がりつつあった時代、マルクスと同時代に生きたヒルティが、『社会主義の本質は嫉妬と憎しみにある』と見抜いたのです。これは、けっこうな洞察だと思います」(前掲書)

本誌7月号「スイスの聖人 カール・ヒルティ 未来に向けて語られた『幸福論』の真意を探る──」でも、社会主義国ができる前に、ヒルティは、社会主義の動機が「嫉妬」にあると見抜いたことを紹介した。

大衆が「キリスト教」よりも「社会主義」に救済を期待したことに、ヒルティは憂慮していた

ここで注目したいのは、当時の大衆が「キリスト教」ではなく、「社会主義」に救済を期待していることについて、すでにヒルティが憂慮していたことだ。

「現代の最悪の現象の一つは、すべての文明国において下層の階級の大衆がキリスト教から、またおよそ宗教的なものから全く離れ去り、ひたすら社会主義の未来国家に彼らの状況の改善を期持していることである。この点で彼らがやがて失望するであろうことは、彼らにとってもう一つの不幸である」(『眠られぬ夜のために 第二部』)

その憂慮は、ヒルティが自著『幸福論』などで信仰の優位を説き、「神のそば近くにある者の幸福」を明かしたことにもつながっている。純粋な信仰が持つ「救済力」をよみがえらせることで、大衆に希望を与えようとしたのだ。

もっと高次な幸福は、「神のそば近くにあること」

では、ヒルティが現代人に示した「真の幸福」とは何か。

大川総裁による霊言で、ヒルティの霊は、その真意を、この世的な自己実現の上にある、「もっと高次な幸福」として、次のように語っている。