2025年8月号記事

第14回

釈量子の宗教立国への道

幸福実現党党首が、大川隆法・党総裁による「新・日本国憲法 試案」の論点を紹介する。

釈量子

幸福実現党 党首

釈 量子

(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/

「自由の創設」は幸福実現党の天命

第十条①

新・日本国憲法 試案〔第十条〕

国民には機会の平等と、
法律に反しない範囲での
あらゆる自由を保障する。

新・日本国憲法 試案
『新・日本国憲法 試案』
大川隆法著
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憲法試案〔第十条〕は、「機会の平等」という、平等権の正しい方向性を明示しつつ、表裏一体の関係である「自由の創設」を謳う条文です。

幸福実現党が立党された2009年、衆院選最終夜の街頭演説において、大川総裁は火を噴くような激しさでこう訴えられました。

本当の自由をこの手にするまで、戦いをやめてはなりません。自由から繁栄が生まれます。発展が生まれます。そして、あなたがたの幸福が生まれるんです。

いいですか。幸福実現党は、あなたがたの自由を守るための政党です。日本は、これから、十年、二十年、あるいは三十年と、厳しい国難のなかを過ごさねばならないかもしれません。しかし、その国難に対処する道は、今年の夏、私が数多く説いてまいりました。

国師・大川隆法、最後に、もう一度、申し上げます。この国に自由を。『自由の大国』として未来を拓くことを。これこそ、われらが使命です」(*1)

「自由の創設」は、我が党の原点にして天命です。

(*1)大川隆法著『自由の大国』(幸福実現党刊)

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2009年衆院選にて大阪で街頭演説をする大川総裁。

「結果平等」と「機会の平等」とを峻別する

そのための鍵が、「平等」という言葉が持つ二つの方向性──「結果平等」と「機会の平等」を峻別することです。

現行憲法14条に記された「法の下の平等」は、通説的には「機会の平等」に当たるとされています。しかし日本政治の実情は、「結果平等」の方に傾き続けています。

例えばひと昔前、小学校の運動会の徒競走で、「手をつないでゴールして、全員一等賞」といったことが行われました。さすがに極端な「ゆとり教育」は軌道修正されましたが、社会の万事においてこの考えが蔓延しています。

代表的なのは「格差是正」「弱者救済」の名の下に行われるバラマキと、財源としてセットで主張される富裕層への増税などでしょう。

自由より平等を選ぶと死が待っている

特に大川総裁は、「一人一票」の選挙制度が「民主主義制度のなかに、『結果の平等』を引っ張ってくる強い力を持っている」と指摘しています(*2)。成功者やお金持ちから富を再分配すると、「もらう側」になる人数が、比率としてどうしても多くなるためです。それは各人の自助努力や創意工夫を阻害し、国民全体の意欲や生産性を引き下げます。待ち受けるのは「貧しさの平等」です。原点には「嫉妬心の合理化」であるマルクス主義の影響があり、行き着く先は、ソ連や中国のような「自由の圧殺」です。

大川総裁は先述の演説で、「『自由か平等か、どちらかを選べ』と言われたら、迷わず自由を選びなさい。平等を選んだら、あなたがたを待っているのは『死』です」と警告しています(*1)。給付金や社会保障維持のために待ち受ける増税や、労働分配率是正と称した賃上げ圧力など、この国は逆方向の判断を積み重ねています。

「自由を選ぶ」とは、決して、「格差が固定化された貴族社会をつくる」ことではありません。「本当の自由を与えれば、平等はちゃんとついてくるんですよ。自由を与えれば、さまざまなものに参加するチャンスが出てくるのです」と語られている通り(*2)、自由を確保することで、誰でも大富豪を目指し、総理大臣を目指せる「機会の平等」が与えられます。努力した企業家が国富を増やせば雇用も生活水準も改善し、成功者が騎士道精神で意欲ある人を助ける循環も生まれるでしょう。

こうした思想の背景には、大川総裁自身、生まれた家柄も地域環境も、「特別に恵まれたものが何もなかった」(*2)ところから、努力に努力を重ねて道を拓いてきた経験からくる、人生や世界への悟りと洞察があります。

なお本憲法試案には、いわゆる「社会権」(生存権、教育を受ける権利など)の記載がありませんが、「必要最低限のセーフティネット」を否定しているわけではありません。それは政策的に補完されるべきであり、憲法にはあくまで「機会の平等」を強調し、「自助の精神を失ってはならない」ことを、官民共に心する必要があるのです。

(*2)大川隆法著『政治革命家・大川隆法』(幸福の科学出版)