《ニュース》

ホワイトハウスがこのほど、トランプ米大統領による2026年度予算方針の概要を発表しました。大幅な歳出削減に取り組みながら、防衛費や国境警備の予算を増やし、全体としては2025年度予算から22.6%削減となります。

《詳細》

1月に就任した直後から、トランプ大統領は、イーロン・マスク氏を政府効率化省(DOGE)のトップに任命し、矢継ぎ早に予算カットを進めてきました。マスク氏は近く「130日以内」と定められた任期を満了して退任するとみられていますが、政府支出カットの具体化は本格的に進められます。

このほど発表されたのは、予算の大枠である「スキニーバジェット」であり、共和党が進める大型減税法案がまとまり次第、詳細が公表される見通しです。

中でも注目したいのは、一連の予算削減が「政府が国民の自由を制限しない」ための取り組みであることが明示されたことです。

例えば、バイデン政権で推進された「急進的な多様性・平等性・包摂性(DEI)」や、人種差別がアメリカ社会に組み込まれているとする「批判的人種理論(クリティカル・レイス・セオリー)」などの「ウォーク(リベラル思想)」、あるいは「マルクス主義」を推進する予算は大幅にカットします。その理由について、「特定のイデオロギーを推進するために納税者の税金を使わない」としています。

また、「サイバーセキュリティ」などの名目で国民を監視したり、環境保護の名目で国民をいじめたりと、「政府権力を武器化してしまう取り組み」に予算を付けない、と宣言。司法省予算についても、フェミニスト団体や、LGBT支援団体への出資など、人権擁護の名目で設定された40以上のプログラムを削減し、「犯罪と戦う」という本来の使命に対して優先的に予算を配分するとしています。

さらに、環境保護や再生可能エネルギー推進のための予算を削減することについては「グリーン・ニュー・スキャム(詐欺)の終了」と打ち出しました。バイデン政権が「インフラ投資・雇用法」で導入した電気自動車(EV)への転換のための予算は廃止し、化石燃料や原子力発電など、天候にかかわらず常に安定して供給できる「ベースロード電源」の確保に尽力するとしています。

一方、防衛予算は13%増加となり、国境警備予算は65%増としています。軍については、自国の防衛に加えて「中国による、インド・太平洋地域での攻撃行動を抑止する」ため再建するとしました。国境警備については不法移民の摘発に力を入れ、不法移民に対する支援を行ってきたNPOへの予算は削減するとしています。

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