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ウクライナ軍の南部の作戦を指揮するオレクサンドル・タルナフスキー司令官が、アメリカが供与した殺傷能力の高いクラスター弾が移送されたと述べたと、米CNNがこのほど伝えました。

《詳細》

到着したクラスター弾についてタルナフスキー司令官は、「(戦況を)劇的に変えることができる」「この爆弾を手に入れれば、こちらが有利になることは敵も理解している」などと有効性を強調しました。ただし、「人口密集地帯では使用しない」として、安全性は確保すると述べました。

クラスター弾は多くの子爆弾を広範囲にばら撒く兵器ですが、一定程度の不発弾が生じるため、民間人への犠牲を不用意に拡大してきました。大量に使用されたベトナム戦争により、カンボジアには今も多数の不発弾と地雷が残っています。同国のフン・セン首相はツイッターに、「ロシアに占領されている地域でクラスター弾を使えば、長年あるいは長ければ100年にわたりウクライナの人々を重大な危険にさらすことになる」と投稿しています。

クラスター弾の製造と使用を禁止する「オスロ条約」には、日本を含む100カ国以上が加盟しています。しかし、アメリカ、ウクライナ、ロシアは加わっていないことから、ウクライナに供与されてもよいという判断の一つとなりました。

しかし、ウクライナを支援するスペインは、同条約に加盟しているために「クラスター弾はノー、クラスター弾を用いないウクライナの正当防衛はイエスだ」(ロブレス国防相)と明確に反対を表明するなど、NATO(北大西洋条約機構)内で意見が割れています。一方、日本は加盟しているにもかかわらず、今回の供与には肯定も否定もせず、松野官房長官が「2国間のやりとりであり、コメントは差し控える」と発表しています。

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