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北海道や東北で増えていく「再生可能エネルギー」で発電した電気を首都圏に送るため、経済産業省はこのほど、新たな海底送電線を整備する計画策定に入る方針を決めました。

《詳細》

政府は「脱炭素」政策として、総発電量に占める再エネの割合を、2020年度の19.8%から、30年度には36~38%に引き上げる計画を立てています。

そうなると、首都圏など電力大消費地を支える電源が、「首都圏周辺の火力などの大型発電所」から、「広い地域に分散する再エネ発電所群」に移行することになります。特に北海道や東北など、広大な土地のある遠隔地の方が再エネ施設は建設しやすいため、電源供給地はどんどん遠くまで広がっていきます。

しかし多くの電気を首都圏まで運ぶ送電網は、まだ十分ではありません。特に北海道から本州に電気を送る「連系線」は最大90万キロワット分しか容量がなく、これでは「全国の隅々に広がる再エネ施設で、日本の電力需要を支えるシステム」はつくれないとされてきました。

また昨今頻発している電力需給ひっ迫状況においても、広域から電力を融通し、首都圏などを支えることは、送電容量がボトルネックとなって難しい、という状況も指摘されています。

そこでこのほど政府は、北海道から首都圏に電気を直接送る送電線を、日本海側の海底に新設する計画を定めるよう、全国の電力需給を調整する認可法人「電力広域的運営推進機関」に要請することを決めました。

想定される送電線は、原子力発電所一箇所分に当たる約200万キロワット分の電力を送れるというもの。具体的な計画は2年間かけて策定され、さらに10年をかけて工事が行われ、2030年代前半の運用開始を目指す、といいます。

送電線に関してはこれまで、従来の連系線(北海道―東北間、東北―首都圏間それぞれ)を27年度までに増強する計画などもつくられており、これらも併せれば、現状の3倍の電気を送れるようになるといいます。

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