《本記事のポイント》

  • バイデン米大統領が台湾防衛に力を入れたいとする理由の1つは、半導体の供給網の確保だが……
  • 最先端半導体は技術革新の原動力であり、軍事にも不可欠
  • 米国競争法案は中国の脅威に対処できていないという共和党議員の指摘も

バイデン米大統領が5月23日の日米首脳会談後の記者会見で、「台湾有事の際、アメリカは台湾防衛に関与する」と発言したことが大きな話題になった。翌日、バイデン氏は「今までの台湾政策(曖昧戦略)に変更はない」と修正したものの、多くの米メディアや関係者らは、台湾に対するアメリカの政策が変わったのではないかと見ているようだ。

バイデン氏が台湾防衛に力を入れたいとする理由の1つは、半導体の供給網の確保にあると見られている。半導体の受託生産で世界最大手の台湾企業「台湾積体電路製造(TSMC)」は、世界最先端の半導体の9割超を生産している。

最先端の半導体不足に危機感を強める

現在、アメリカや中国を含めた世界各国は、コロナによる需要の急拡大や供給体制のひっ迫などにより、最先端の半導体が大幅に不足している状況にある。最先端の半導体は、人工知能(AI)から合成生物学、量子コンピュータといった重要分野における技術革新の原動力であり、軍事システムにとっても不可欠だ。

米メディア報道は、台湾の最先端半導体をめぐり、米中の争いが激しさを増していることをたびたび報じている。

1月下旬には、米軍事系シンクタンク「新アメリカ安全保障センター(CNAS)」が「2025年1月、TSMCのシステムに不具合が発生し、2カ月間の製造停止となり、最先端半導体が世界的に不足する中、米中台の各チームはいかに対応するか」というシミュレーションを行った際のレポートを発表。アメリカが台湾の半導体に大きく依存していることを白日の下にさらした。

現在TSMCは、米政府からの強い要請を受け、米アリゾナ州に新工場を建設中だ。しかし、TSMC創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏は、4月中旬の米ブルッキングス研究所のインタビューで、「アメリカは自国での半導体生産を拡大しようとしているが、製造業の人材がすでにいない。非常に無駄でコストのかかるやり方だ」と批判し、アメリカの業界関係者に衝撃が走った。

半導体業界に巨額の補助金を投じることを定めた「米国競争法案(America COMPETES Act)」がいまだに成立していないため、張氏が圧力をかけたのだとも指摘されている。

「米国競争法案」ではなく、「米国敗北法案」という指摘も

バイデン氏は5月初旬、中西部オハイオ州で演説し、中国に対抗するため、先端技術の競争力向上を目指す「米国競争法案」の成立が必要だと訴えた。

与党・民主党が主導した同法案は、半導体の生産や研究開発に520億ドル(約6.6兆円)の補助金を投じることを定めている。米議会下院で2月上旬、賛成222人、反対210人で「米国競争法案」を可決したが、いまだ議会上院において調整中で成立していない。

というのもこの法案には、半導体支援以外に環境問題関係などへの補助金が含まれており、左派議員やその票田への配慮がなされている。共和党のジム・バンクス下院議員が率いる学習会グループ「RSC(Republican Study Committee)」は1月下旬、米国競争法案についての声明を発表し、次のように指摘している。

「この法案は脆弱で、中国の脅威に適切に対処できておらず、国家安全保障とは無関係の問題に数十億ドルを投じている。例えば、珊瑚礁の研究に数百万ドル、国連のグリーン気候基金に数十億ドルという予算が計上されている。一方で、制裁法の施行や軍事力増強のための資金はない」

共和党議員たちは、「バイデン政権は一見すると中国に厳しいように見えるが、実際は中国に屈している。米国競争法案も巧妙な方法で中国に有利になるようにつくられている」と見ているようだ。

ジム・バンクス議員の学習会では、米国競争法案のことを「米国敗北法案(America CONCEDES Act)」と呼んでいた。

(ワシントン在住 N・S)

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