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ミチェル・バチェレ国連人権高等弁務官は8日、中国当局によるウイグル人権弾圧の調査のため、5月に新疆ウイグル自治区を訪れることを明らかにしました。

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これまでさまざまな人権団体などが、中国当局が100万人以上のウイグル人たちを強制収容所に収容し、強制労働や性的暴力、強制不妊手術などの人権弾圧を行っているとして、高等弁務官に同自治区を訪れるよう、訴えていました。

バチェレ氏は、スイス・ジュネーブで開催中の国連人権理事会の会合で、ビデオメッセージを通じて「訪問について中国政府との合意を発表できることをうれしく思う」と述べました。人権弾圧を否定する中国政府は長年、バチェレ氏の訪問を歓迎するとしていましたが、同氏が求める「(収容施設などを含めた)有意義かつ自由なアクセス」について同意するのは、困難と見られていました。

国連人権高等弁務官の訪中は2005年以来初めて。バチェレ氏の訪問に先立ち、国連人権高等弁務官事務所の先遣隊が4月に、同自治区やその他の場所を訪れる予定です。

また、国連が定めた「国際女性デー」である8日には、世界各地でウイグルやチベット、南モンゴルなど出身の女性たちが中国の迫害に抗議する集会を開催。日本では、東京都千代田区にある衆院議員会館前でデモが行われました。参加者たちは収容所の解体とともに、女性への侮辱や同意を得ない堕胎手術の停止を求める声明を発表しています。

今のタイミングで中国政府との合意ができたのは、ウクライナをめぐるヨーロッパ情勢の緊迫により、中国へのバッシングが集中しないようにするためでしょう。また、バチェレ氏がウイグルを訪問しても、以下の理由から、中国政府が強制収容所の実態調査を許すようなことはあり得ません。

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