2021年7月号記事

ミャンマー・クーデターの黒幕は中国だった!

ミャンマーで軍事クーデターが起きて、約4カ月が経つ。
多くのマスコミは「ミャンマー国軍vs.民主化運動」という対立軸で報じているが、
その見方は事の本質を突いていない。

(編集部 山本慧、竹内光風)



軍用車の走行を阻むために土嚢で道をふさいだデモ隊に、ロケットランチャーを使用し、逃げ惑う人々を小銃で追撃する。丸腰の人であっても迫撃砲や機関銃の掃射で無差別に殺害。重傷者を救う人々には暴行し、病院関係者にすら銃口を向けて脅し付ける──。

日本では到底考えられない惨状が広がっているのは、東南アジアに位置するミャンマー。同国では2月1日に軍事クーデターが起きて以降、犠牲者は790人を超えた(5月16日時点)。爆撃音や乾いた銃声、同胞を失った悲痛な叫び声がこだまするミャンマーは、混乱の中にある。

民間人を暴行死させ臓器を取り出す!?

あまりにも激しいミャンマー国軍の武力弾圧を前に、数十万人規模のデモは減ったが、多くの国民は数百人規模のゲリラデモに切り替え、クーデターに抗議している。しかしこの運動を一掃するかのように、国軍はデモの参加者を次々に逮捕・拘束している。

「あのまま拷問が続いていれば、彼女は確実に死んでいたと思います」と、17歳のミャンマー人女性は米メディアの取材に答えた(下写真)。

女性によれば、同じく拘束された別の女性が、逮捕当初から警官らに暴行を受け、取調室で一緒になったときには、すでにまともに歩けなくなっていた。彼女は食事ができないほどに口が裂け、体は血まみれだったという。

ミャンマーの人権団体「政治犯支援協会」の発表によると、国軍によって逮捕・拘束されているのは3998人に上る(5月16日時点)。その多くは抗議活動に参加した若者やジャーナリスト、そして抗議の意を示した芸能人や教師も含まれている。ほとんどの場合、デモに参加しただけ、もしくはクーデターに反対する意志をSNSなどで発信しただけで、いきなり自宅まで押し入られて拘束された。

あまりにも非情で激しい拷問に、命を落とすミャンマー人も、決して珍しくはない。遺族が遺体の返還を要求しても、軍はなかなか応じず、一体につき1万2000チャット(843円)の支払いを求められた例もある。驚くべきことに、返却された遺体には、お腹を一直線に縫われ、内臓が取り出された形跡すらあり、治安当局が臓器を売買しているという疑いが投げかけられている。

在日ミャンマー人で、1980年代から民主化運動を続けるウィン・チョウ氏は、「国軍は人間じゃないです。明らかに残忍性が増しています」と証言する。

ミャンマーには金物を叩いて、悪霊を追い払う風習がある。現在、夜になると、ヤンゴンの住民らはシンバルや鍋を打ち鳴らし、「悪霊よ、立ち去れ」と願う。その「悪霊」は言うまでもなく、ミャンマー国軍だ。

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ミャンマー国軍や警察によって加えられた暴行で顔がはれ上がってしまった若者(ウィン氏提供)。
右の女性は、警察から暴行を受け、拳銃を突き付けられたという。

 

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