2021年4月号記事

脱炭素社会は世界大恐慌への道

「脱炭素は成長戦略の柱」、そんなムードを信じてよいのか。
実際は、世界大恐慌へとつながる、進んではならない道なのだ。


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脱炭素社会は世界大恐慌への道 - Part 2 脱炭素に仕掛けられた中国の罠


脱炭素に仕掛けられた中国の罠

バイデン米政権下でより大きな問題となる「温暖化」。中国は何を狙うのか。

2020年9月、国連総会の一般討論のビデオ演説で、中国の習近平国家主席は、CO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を60年までに実現すると表明した。世界の約30%の排出量を占め、温暖化の問題となれば意固地に反対し続けていた中国が、「実質ゼロ」を表明したのだから、衝撃が大きかったのは事実だ。

さらに、20年12月に開催された「気候野心サミット」では、「30年までに風力発電と太陽光発電の設備容量を12億キロワット以上にする」との目標を掲げた。現状の2.3倍の規模で、アメリカの全発電設備容量に匹敵するほどだ。

こうした公約が守られていると喧伝するように、20年の設備容量の増加分は風力と太陽光を合わせて、目標値のちょうど10分の1である1.2億キロワットと発表。前年度と比べれば、新設は急増した。


世界の石炭火力増の9割は中国!

ただ、中国の目標達成時期は「パリ協定」が定める「50年CO2排出量ゼロ」からは10年遅い。しかも、中国国内の石炭消費量は依然、増加している。

14年、中国政府は新規発電所の許認可権を地方に移管。各地で石炭火力発電所の建設が相次いだ。その結果、20年上半期には、中国が計画する石炭火力発電新設量は、全世界の9割となり、CO2はさらに37%増えるとの予想もあるくらいだ(*1)。

「温暖化問題」に積極的になったように見える中国の大言壮語は、明らかな国際世論の誘導。「中国は公約を絶対守らないし、CO2排出量の統計値はいくらでも調整して出し放題」と指摘されるように(*2)、中国の発表や公約は大ボラと見た方がよく、何か裏があると考えた方がいい。

(*1)British Petroleum(BP)の「BP Energy Outlook 2035」より。
(*2)『ヤイドロンの本心』(大川隆法著、幸福の科学出版)

 

次ページからのポイント

Interview 温暖化外交は中国のだましのテクニック 杉山 大志氏

脱CO2も中国が仕掛けた"戦争"である