2021年4月号記事

脱炭素社会は世界大恐慌への道

「脱炭素は成長戦略の柱」、そんなムードを信じてよいのか。
実際は、世界大恐慌へとつながる、進んではならない道なのだ。

NHKよ、大丈夫ですか?

「脱炭素」を急がすNHK。
しかし、その主張を受け入れてよいか要注意だ。

Interview

二酸化炭素が悪さをしている気配はありません

東京大学
名誉教授

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渡辺 正

(わたなべ・ただし)1948年、鳥取県生まれ。東京大学大学院修了、工学博士。92年より同大学教授(生産技術研究所)。12年、同大学を定年退職し(名誉教授)、現在に至る。著訳書に『「地球温暖化」の不都合な真実』(日本評論社)など約180点がある。

年始のNHKスぺシャル「暴走する温暖化 "脱炭素"への挑戦」では、「2100年に気温が4.5度上がり、地球の未来が危うい」と紹介。番組の中で、「地球温暖化で雪が降らなくなるかもしれない」と取り上げたが、放映日の前後に観測史上稀な豪雪が日本を見舞い、さぞやバツが悪かったことだろう。

番組が依拠する温暖化論の問題点について、電気化学を専門とし、環境分野の研究に詳しい渡辺正氏に話を聞いた。

◆ ◆ ◆

──番組では、2100年には気温が4.5℃上がり、大変なことになるとしています。

地球の気温はいくつもの要因が重なって決まります。「4.5℃」というのはコンピューターのシミュレーション結果ですが、研究者の書いたプログラム通りの結果にすぎません。20世紀末から出ているさまざまなシミュレーションの結果を平均すると、1975年から現在まで気温は1度上がるはずですが、現実はその半分も上がっていません。

地球の気温には自然変動があります。「小氷期」という寒冷期が、幕末まで500年ほど続きました。江戸時代は冷害続きでしたし、冬場にロンドンのテムズ川が凍りついた記録もあります。

地球の平均気温は人為的なCO2の排出動向とほぼ無関係に上昇中ですが、10年に0.1℃未満なので、体感さえできません。

──温暖化で氷河が融けて海水準(海面の高さ)が上がっていると、番組では言っていますが。

気温上昇期は水が熱膨張するので海面は上がりますが、いずれ寒冷化に振れ、下がり始めるでしょう。なお、ようやく20世紀末に分かったことですが、海の表層水温もいろいろな周期で自然変動しているのですよ。

 

次ページからのポイント

氷河が崩れるのは寒冷化で氷が増えたから

Column 「近海魚が食べられなくなる」のウソ

科学と言いつつ妄信・狂信になっていないか

Column NHKディレクターに悪質宇宙人がウォークインしている!

悪魔の道具である「脱炭素」に振り回されるな