2024年4月号記事

インフレと円安のダブルパンチに襲われる日本

トランプ氏の経済顧問が語る

日本の未来と復活への処方箋 Part 1

今必要な自助努力型の経済学。なぜこれが未来型の経済学となるのか。
理由を探った。

バイデン米大統領が就任してから3年超が経過。その間、アメリカを襲ったのは、インフレだ。一時期9.1%を超えたインフレ率は、数字的には下がりつつあるものの、食料品などの価格は、20%ほど上昇している。

長期化するロシア─ウクライナ戦争と同時並行で起きている中東の戦争も拡大しかねない。東アジアに向かう商船の多くは、スエズ運河と紅海を通り抜ける航路を利用してきたが、イスラム武装組織フーシ派による攻撃が続いているため、アフリカ南端の喜望峰を迂回する航路を経由しなければならなくなってきている。燃料費が増え、輸送期間も延びていることから、供給はひっ迫し、インフレ圧力が高まっているのだ。

アメリカでインフレが再燃した場合、米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げを行うことができない。利上げの影響を受け、保有する国債価格が下落し、昨年米地銀のシリコンバレーバンク(SVB)などが破綻したが、同様の事態が再度起きる危険もくすぶっている。

日本でも今後インフレ率が上昇し、日銀が続けてきたゼロ金利政策の出口戦略として金利を断続的に上げ始めたら、SVBと同じように、地銀が含み損を抱えるリスクは上昇する。構図は一緒だからである。

バイデンフレーション(バイデン大統領がつくり出したインフレ)は世界中に伝播して厄災をもたらしているのだ。

 

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