画像は、米戦略国際問題研究所のアジア海洋透明性イニシアチブのHPより。

《本記事のポイント》

  • 米国務省高官、南シナ海問題で中国への制裁の可能性を排除せず
  • メガトン級の制裁は、中国のエネルギー企業を標的にすること
  • 東シナ海の資源開発問題にも、アメリカが介入する余地がある

アメリカのデービッド・スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は14日(現地時間)、中国が軍事化を進める南シナ海問題をめぐり、この問題に関与する中国の当局者や企業への制裁について、「全ての選択肢があり、その余地もある」と述べた。

スティルウェル氏は、中国海洋石油集団(シノック)など中国国営企業の調査船などが急増している現状を批判し、「どんな社会においても、市民は商業企業と外国国家権力の手先との違いを知る権利がある」と指摘。「これらの国営企業は、現代の東インド会社に相当する」と発言し、中国国営企業をイギリスの植民地経営を支えた東インド会社に例えて非難した。

メガトン級の制裁は「中国のエネルギー企業」

国務次官補の発言は、かなり衝撃的だ。アメリカが制裁を行う対象は、植民地化の一角を担う「中国のエネルギー企業」であることに含みを持たせたからだ。

南シナ海で天然ガスなどを開発してきたのは、中国海洋石油集団や中国石油化工集団(シノペック)である。中国は国内で精製する原油の7割、天然ガスの消費量の5割近くを輸入している。そこでエネルギー自給率を高めるべく、人民解放軍を使って南シナ海の実効支配を図りつつ、国有企業による資源開発を猛プッシュしてきた。

それに対しアメリカは、中国が主張する南シナ海の領有権を明確に否定した上で、今後、制裁に踏み切る可能性を否定しなかったのだ。

中国海洋石油集団などは、共産党とズブズブの関係である国有企業でありながら、ニューヨーク市場に上場している。それらの企業の上場廃止や、関係者のビザを停止することもあり得る。

中国が開発する東シナ海問題にも制裁!?

興味深いのは、日本と中国が対立している東シナ海のガス油田の開発も、中国の石油会社が担っている点だ。

ポンペオ米国務長官は15日の会見で、「アメリカは、合法的な領有権の主張や海洋権益の主張を中国に侵害されている、世界中のすべての国々を支援していく」と述べ、領有権問題などで中立を維持してきた従来の外交方針を転換し、中国をけん制する立場を強調した。

となれば、南シナ海だけでなく、東シナ海の資源開発問題にも、アメリカが介入する余地が生まれたわけだ。これは日本にとって非常に大きな意味を持つ。

すでに香港問題をめぐり、アメリカは中国の大手銀行に対する制裁の道を開いた。これに加えて、エネルギーへの制裁を行使できることを世界に宣言した。かつてアメリカが日本を追い詰めたように、中国への強硬路線のギアを上げている。

最新号の本誌2020年号8月号では、トランプ米大統領が中国を相手に「大暴れ」することを予言している。なぜそう断言できるかなどの詳細は本誌に譲るが、いよいよ、米中決戦が始まったとみていい。

(山本慧)

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