ザ・リバティWebにおいて、ネット番組「未来編集」の配信を開始する。この番組では、「少し変わった切り口から時事問題を捉えなおす」ことで、「日本や世界の未来像を"編集"」していく。

第一回目のテーマは「なぜ中国を揺るがすのはいつも大学生なのか?」。全三編のうち、今回お届けする「前編」では、「台湾留学中の中国人学生が『帰国命令』をくらった感動演説」を紹介する。

【新番組】なぜ中国を揺るがすのはいつも大学生なのか? 【未来編集#1前編│ザ・リバティweb】

演説動画の背景

台湾留学中の中国人大学生の李家宝さん(21歳)が、習近平政権を激しく批判するライブ動画をツイッター上で公開。中国政府から圧力を受け、国際問題に発展している。

李さんは台湾・台南市の嘉南薬理大学に短期留学している最中に動画を公開。動画は瞬く間に拡散され、台湾中のメディアの注目を浴びた。その直後、中国に住む両親とは連絡が取れなくなり、今も両親の安否は分からないままだという。

中国政府機関からは、留学先の大学や下宿先を通して、「すぐに帰国するように」という命令が通達された。帰国したらすぐに中国当局に逮捕されると危機感を抱いた李さんは現在、台湾の移民局に「政治保護」を申請している。

李さんによると、現在も毎日のように、中国大陸から「お前はクズだ」「殺してやる」などの誹謗中傷・脅迫メッセージが送られてくるという。

写真:幸福の科学・台北支部精舎で取材に応じる中国人留学生の李家宝さん。

演説重要箇所の日本語訳

問題になった動画は3月11日に公開され、「我反対(私は反対する)」と題されている。重要な箇所は番組内でも抜粋で紹介しているが、以下に文章でも掲載したい。

「"皇帝化"する習近平に反対する」

中国政府は昨年3月、国家主席の任期を2期10年とする制限を撤廃し、習近平思想を盛り込む憲法改正を成立させた。このことについて、李さんは次のように述べている。

「憲法改正の成功は、習近平が皇帝の座についたことを意味しています。劉暁波氏と彼が遺した『08憲章』の中心的価値に感化され、私はこの憲法改正が成功した日(3月11日)に、中国の一市民として、中華人民共和国憲法で保障されている権利を行使して習近平への反論を公表します」

「現代中国は『1984年』のような世界」

「(現代の中国は)ジョージ・オーウェルが描いた『1984年』のようにばかげた不条理な世界で、汚染された粉ミルクや偽ワクチンで満ちています。何百万人もの低賃金労働者は、『地元での自営業を通して自立しよう』という行政の呼びかけのもと、都市から田舎に戻ることを強制されました。誰もが憤慨していますが、誰も声を上げません」

法輪功、人権弁護士、天安門事件の犠牲者たち

「現代の中国は辛亥革命前以上の暗黒時代です。多くの市民と同様に、私も中国共産党政権の強力な安定維持政策への恐怖はあります。しかし私は立ち上がる準備ができました。迫害され拷問を受けた何百万人もの法輪功学習者、逮捕され汚名を着せられた709事件の弁護士たち。6月4日の夜に天安門広場で、中国の人民解放軍の弾丸を受け、戦車に永久に押しつぶされて虐殺された青春時代の学生たち。彼らの両親は、遠い土地から子供たちが家に帰ってくることを待っていましたが、学生たちは二度と戻ることができませんでした」

「中国に民主主義と自由の夜明けを」

「たとえ私が倒れたとしても、私が今日ここに立っているように、何千人もの私のように勇敢で恐れのない人が出てくるでしょう。《中略》私たちはいつか天安門の上で世界190カ国以上に公表する機会があると確信しています。共産党のもとで奴隷にさせられた数十年の時は終わり、中国は再び民主主義と自由の夜明けを迎えるのだということを!」

「将来、私の子供たちが、強権者によって独裁的にすべてを決められることがない、青空の下で生活できることを願っています。その場所では、反対派の市民が消されることなく自らの意見を表明することができ、民主主義を実践し、自由を行使する権利を持てる場所であり、まさに今日の台湾のような場所です」

「多くの無名の英雄と同じように、世界は私がここにいたことを記憶しないかもしれませんが、私は後悔しません。《中略》私はいつも信じています。闇がこれから20年続いても、私たちはお互いに満天の星を見せることができると!」

中国に立ち向かうには「連携」が必要

李さんは本誌の取材に、「自分が立ち上がったことをきっかけとして、さらに多くの中国の若者が立ち上がり、声を上げることを期待しています」「中国を変えるには、集団の戦いが必要です。自由や民主主義を求める人々と連携して、実現していきたいです」と、動画を公開した理由と今後の意気込みについて語った。

自己犠牲の精神と勇気を持ち、正しいことを主張する若者が増えていけば、中国共産党を揺るがす大きな力になるだろう。

本誌は3月中旬、台北で李さんに緊急取材を行った(参照: 【緊急取材】台湾の中国人留学生が習近平批判動画で帰国命令 「両親と連絡取れない」 )。番組「中編」ではそのインタビュー映像も掲載予定だ。

(記事:国際政治局 小林真由美/番組編成:ザ・リバティWeb企画部)

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2019年3月20日付本欄 【緊急取材】台湾の中国人留学生が習近平批判動画で帰国命令 「両親と連絡取れない」

https://the-liberty.com/article/15532/