2018年4月、バチカンで、中国から来たグループと謁見するローマ法王フランシスコ。写真:AP/ アフロ

2019年1月号記事

202X年 台湾占領を狙う中国

日本は「言論戦」で台湾を守れる

台湾では11月、統一地方選挙が行われる。主な争点は「中国との関係」だ。中国の脅威が台湾に迫る中、日本は台湾をどう守るべきか。

(編集部 小林真由美)

「神を信じない宗教弾圧国の中国が、キリスト教の司教を任命するなんてばかげています」

中国の宗教弾圧に詳しい台湾人教授は、そう語気を強めた。

2018年9月、衝撃的なニュースが世界を駆け巡った。キリスト教カトリックの総本山バチカン(ローマ法王庁)が、長年対立してきた中国と、司教の任命権問題で暫定合意に達したのだ。

合意内容は、バチカンの承認なく、中国が任命した7人の中国人司教を法王が認めるというもの。バチカンが中国側の主張に全面的に譲歩した。両国が1951年に断交して以来、歴史的な和解に至ったと言える。

10月にバチカンで開かれた「世界司教会議」には早速、中国から2人の司教が初参加。両国の関係は急速に近づいている。

バチカンと中国には、それぞれの思惑がある。

バチカンは、カトリック信者数が伸び続ける中国という「有望市場」を手に入れたい。

現在、推定1200万人の中国国内のカトリック教徒は、政府公認の「愛国カトリック教会」とバチカンに忠実な「地下教会」に二分されている。

習近平政権下で、地下教会への弾圧は激化し、数々の教会が閉鎖されている。香港教区元司教の陳日君枢機卿は、「中国は合意を利用して、地下教会をさらに弾圧する」と懸念している。

次ページからのポイント

インタビュー/国立台湾大学 国家発展研究所 副教授 曾建元氏

インタビュー/映画「自己検閲」監督 李惠仁氏

インタビュー/チベット亡命政府 駐台代表 ダワ・ツェリン氏