習近平国家主席が、中国を訪問中の北朝鮮の李洙墉(リ・スヨン)朝鮮労働党副委員長と、北京で会談した。李氏は金正恩・党委員長の側近として知られており、習氏がこうした北朝鮮の高官との会談に応じるのは、2013年以降、初めてのことだ。

報道によると、李氏は、5月上旬に開かれた朝鮮労働党大会の結果を報告。さらに、「朝鮮半島や北東アジアの平和と安定を維持するために、北朝鮮は中国と共に努力して、両国の友好関係を強化したい」という金氏からのメッセージを伝えた。

中国が、北朝鮮に核実験の自制を促した!?

これを受けて、習氏は「両党の友好関係を重視していることを示している」と述べたが、一方で、核開発の姿勢を崩さない北朝鮮に対して、核実験などの自制を促したものとみられている。

北朝鮮の水爆実験やミサイル発射実験によって、中朝関係は冷え切っていたが、いまなぜ、このような「歩み寄り」が行われたのか。両国の足元を見れば、明らかになってくる。

体制崩壊を防ぐための歩み寄り

北朝鮮は、水爆やミサイルの実験を繰り返している。その一方で、国内では、食糧難に見舞われている可能性を、4月、国連食糧農業機構(FAO)が発表した。その前の3月には、国営メディアが、北朝鮮国民に対して、「苦難の行軍」に備えるよう訴えている。

この「苦難の行軍」は、1990年代に起きた大飢饉の際に使われた言葉。当時、350万人が餓死したと言われている。軍の幹部や一度に多数の人が脱北するケースもあり、北朝鮮内部で異変が起きていると思われる。

一方、中国は、経済の低迷で不満を抱える国民に対して、厳しい統制を行っている。対外的には、北朝鮮を手なずける様子を見せることで、国際社会に、影響力を誇示。もちろん、簡単に北朝鮮を崩壊させては、民主主義国との「緩衝地帯」が失われてしまう。「防波堤」の役割として、なるべく、金正恩体制を温存させたいという思惑がある。

北朝鮮、中国ともに、体制の崩壊を防ぐために、互いに支え合う「パートナー」を必要としている状況なのだろう。

日本が、台湾、東南アジア、ロシアとやるべきこと

こうして中朝がバタバタしている間に、日本がやるべきことはたくさんある。

台湾を「国」として認めたり、東南アジア諸国に軍事的な協力をして南シナ海を守ったり、中朝の背後からプレッシャーをかけるためにロシアと平和条約を結んだり……。いまこそ、外交・防衛の面から、「対中国・対北朝鮮包囲網」を築いていくべきだ。(慈)

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