岸田文雄外相とロシアのラブロフ外相が会談し、5月6日に予定されている首相のロシア訪問後、できるだけ早い時期に平和条約締結交渉を行うことで一致した。また、北朝鮮がさらなる挑発行動を起こさないよう強く求めることでも合意した。

日露間では北方領土問題が解決していないため、第二次大戦を終わらせる平和条約が結ばれておらず、停戦状態が続いていることになっている。

日本側としては、5月の安倍晋三首相のロシア訪問を、北方領土問題の解決に向けた話し合いを前進させる糸口にしたい考えだ。日本が議長国を務めた4月11日のG7外相会合で、安倍首相は議長声明の中に「ロシアとの対話を維持する重要性」という一文を盛り込むなど、ロシア訪問を前に、交渉の地ならしをしているようだ。

ロシアは現在、2014年のウクライナ問題をめぐって欧米諸国から制裁を受けているのに加え、最近の原油価格の急落によって、危機的な経済状況にある。ロシアは5月下旬の伊勢志摩サミットの議長国を務める日本に、制裁緩和の流れを主導してもらいたい考えとみられる。

日本はロシアを中国・北朝鮮包囲網に取り込むべき

今年に入ってから、北朝鮮の核実験やミサイル発射実験などが相次いでおり、アジアの平和が脅かされる状況が続いている。軍事大国であるロシアが、北朝鮮や中国と一緒になってしまうと、日本の安全保障がさらに脅かされる危険性がある。

日本とロシアが平和条約を結ぶことは、ミサイル実験を繰り返す北朝鮮への牽制にもなる。ロシアを敵視するのではなく、協力関係を築く方向に外交を進める必要がある。

もともとロシアは親日的で、特にプーチン大統領は柔道などの文化交流を通して親日家として知られており、安倍首相との関係も良好だ。

これまでの日ロ関係においては、北方領土の問題で微妙な距離があった。しかし今、ロシアは経済的な苦境に立たされている。日本と経済協力することは、両国の距離を変えることになるだろう。

欧米先進国と足並みを合わせるだけではなく、アジアの安定と日本の国益のためにも、日本として主体的な外交をしていくことが必要だ。(真)

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