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計画決定から43年、国民の念願の北海道新幹線が26日、開業した。
新幹線が初めて青函トンネルを通って北海道に入る。北海道新幹線は東北新幹線と直通運転し、東京から新函館北斗までは、最速4時間2分で行けるようになる。
また、新幹線のネットワークが北海道から九州までつながるため、新函館から一番列車に乗って新幹線を乗り継げば、夕方6時ごろには鹿児島に到着できる。一日で「日本縦断」も可能になるということだ。
北海道へのアクセスが良くなれば、観光目的で北海道を訪れる人が増えるだけでなく、企業や工場の誘致なども進み、地域の雇用の創造につながるという期待がある。
日本政策投資銀行は、北海道新幹線の開通により、首都圏と宮城から北海道を訪れる人が年13万人増え、136億円の経済波及効果があると試算。これまで相互の経済交流が乏しかった北海道、東北、北関東を合わせた経済圏が生まれる可能性がある。
札幌に届かない新幹線は使いにくい面も
その一方で、「北陸新幹線ほどの経済効果は望めない」という声もある。というのも、今回開業した北海道新幹線は函館までであり、札幌までの開通は15年後になるというのだ。
日経新聞社が実施した北海道新幹線に対するアンケートでは、首都圏の1都三県では、48%が「新幹線開業後も飛行機を使う」と答え、「新幹線を使う」と答えたのは22%にとどまった。
東京から函館に4時間程度かけて新幹線で行っても、函館から札幌までさらに3時間近くかかり、結局東京―札幌間は7時間超になる。東京から札幌に行きたい人は、新千歳空港経由の空路の方が1.5時間と早いため、飛行機を選ぶ人が多そうだ。
札幌開通を前倒しするべき
そのため、経済効果としては非常に中途半端な状態にある。
政府は、まずは新青森―新函館間の運営を軌道に乗せることが優先だとして、計画の前倒しに慎重姿勢を見せている。北海道新幹線への政府による投資額は420億円に過ぎない。
しかし、北海道内の人口の3分の1を占め、多くの企業が密集する札幌にも新幹線を通した方が、より大きな経済効果が期待できる。
商品券や交付金のバラマキをするよりも、札幌までの新幹線開通を前倒しするためにさらに投資をした方が、長期的な地方創生につながるのではないか。
北海道の観光産業や企業誘致に加え、防衛産業振興などと組み合わせるなどすれば、経済効果も相乗的に増えることが期待できる。そうなれば、予算の回収も早まり、税収も増える。地域活性化の一つのモデルにすることができるだろう。(真)
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