アメリカの大統領が、初めて、被爆地・広島を訪れるか――。

5月下旬に行われるG7伊勢志摩サミットでの来日に合わせ、オバマ大統領が、原爆を落とした広島への訪問を検討していることを、米国務省の高官が明らかにした。23日付各紙が報じた。

これを受けて、菅義偉・官房長官は、「世界の指導者に被爆の実情に触れてもらうことは、核兵器のない世界に向けた国際的な機運を盛り上げるうえで極めて重要だ」とした。広島の被爆者たちからも、オバマ氏の訪問に期待の声が上がっているという。

「核なき世界」でノーベル平和賞

オバマ氏は、大統領就任間もない2009年4月、チェコのプラハで演説。核兵器を使用したことがある唯一の核保有国としてアメリカが先頭に立ち、核兵器のない世界の平和と安全を追求する決意を明言した。

その後、この演説と「核なき世界」に向けた国際社会への働きかけが評価され、同年にノーベル平和賞を受賞している。

アメリカでは、原爆投下について反省する声もあるが、依然として、「原爆が戦争を早く終わらせた」などと正当化する声も根強い。

原爆投下を正当化してきた歪みが、北朝鮮問題として現われている

だが、当時の日本には、戦う力はほとんど残っていなかったし、アメリカはそれを知っていた。そもそも、数万人の民間人を一瞬にして殺すホロコースト(大虐殺)を正当化できる理由など存在しない。

戦後、東京裁判で、アメリカが主導するGHQは、「人道に対する罪」で日本の指導者を起訴したが、その罪は、アメリカの指導者こそが負うべきだったはずだ。

現在、アメリカは、北朝鮮や中東諸国の核に悩まされているが、自分たちが核の使用を正当化してきた歪みが、ここに現われている。

ドイツには落とさずに、日本に落としたことを考えれば、その背景に「人種差別」があったことは明白だ。また、中国大陸の利権を得るために、国内外において、日本を「悪魔化」し、「殲滅すべき対象である」という印象操作をしてきた。アメリカの判断はいずれも間違っていた。

オバマ氏には、広島で原爆投下への謝罪をしていただきたい。それは、混沌とする現代の国際社会へのメッセージにもなるからだ。

日本を「悪い国」としたために、中国や北朝鮮が台頭した

だが、もっと本質的なことを言えば、その謝罪には、戦勝国が、先の大戦における日本に「悪い国」というレッテルを貼ってきたことへの反省を込めるべきだろう。日本に間違ったレッテルを貼ったことが、戦後の旧ソ連、近年の中国、北朝鮮という独裁国家の台頭を招いたからだ。

日本の戦いの本当の意味は、欧米列強からアジアの植民地を解放し、白人優位の人種差別政策を打ち砕いたことにある。この事実を認めずに、これからの世界平和、地球的正義は成り立たない。

伊勢志摩サミット開催直前の5月3日は、東京裁判の開廷から70年の節目でもある。

米大統領の原爆投下への謝罪をきっかけに、国際社会は、先の大戦における日本の評価を見直し、反省するきっかけとしてほしい。それこそが、世界平和への大きな一歩となる。

(小林真由美)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『原爆投下は人類への罪か?』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=969

幸福の科学出版 『大川隆法の"大東亜戦争"論 [上巻]』 大川真輝著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1508

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