ロシアのナルイシキン下院議長と日本の専門家らは、原爆投下をテーマとした円卓会議をモスクワで開催した。会議では、アメリカによる広島と長崎への原爆投下を「犯罪」として非難する声が上がった。

ナルイシキン氏は、原爆投下には「ソ連を威嚇する目的があった」「人道への罪に時効はない」と主張。出席者の多くも、アメリカは「国際法廷」で裁かれるべきだと批判した。その他にも、ロシア国営テレビが原爆投下に関する特番を放送するなど、主要メディアや政府高官による原爆投下への批判が続いている。

これらの批判キャンペーンは、ウクライナ問題で欧米との対立を強めるロシアが、日米連携の分断を図っているとの意見もある。また、ソ連の対日参戦により第二次大戦が終結したと述べるなど、日ソ中立条約の破棄を棚に上げ、自国を正当化しようとする意図も見え隠れする。

戦争終結のために原爆投下は必要なかった

だがロシアが主張するように、原爆投下は間違いなく「人道に対する罪」だ。戦後70年が経った今、アメリカはそのことを認め、反省する必要がある。

第二次大戦末期、日本側は和平合意を望んでいたが、アメリカ側は完全降伏をつきつけ続けた。さらに日本の都市は空爆で焼け野原と化していたため、戦争終結のために原爆投下は必要なかった。原爆投下を行った理由は、「原爆の威力を試したかったから」「ソ連へのけん制」「日本人への差別意識があったから」などと言われている。

一方、アメリカは相変わらず原爆投下を正当化している。7日付ウォール・ストリート・ジャーナル電子版にも「原爆投下を神に感謝」というオピニオン記事が掲載された。記事の内容は、「原爆投下によって日本での本土決戦は回避され、多くの人々の命が救われた。また、原爆は日本を平和主義の国に変えた」というもの。

この記事の「戦前・戦中に侵略国家だった日本を、アメリカなど連合国が正義の味方として打ち負かした」という考えは、戦後、戦勝国によってつくられた歴史観であり、戦勝国のプロパガンダだ。実際は、日本はアジア諸国を欧米の植民地支配から解放するために戦っていた。

ロシアの原爆投下への批判には様々な思惑があるかもしれないが、戦勝国史観を覆す動きであることは確かだろう。日本はアメリカとの関係を大切にしつつも、アメリカの原爆投下について、「間違いは間違い」と諭すべきだ。人間関係と同じく、そのような態度を取れる国同士が、真の友好関係にあると言えるのではないか。(泉)

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