18 日から予定されている胡錦濤国家主席の訪米を前に、中国に政治改革を迫るべきという議論が出始めた。元米国務省政策スタッフのダニエル・トワイニング氏は13日付米紙ワシントン・ポスト上で、アメリカ政府は中国に対し、人権問題と政治の民主改革について取り組みを求めるとともに、それに協力すべきだと論じている。同氏は政治改革に言及した温家宝発言にも触れ、現行の政治モデルが更なる経済発展の足かせとなりかねないという議論が、中国の有識者の間でも存在することを指摘している。

中国が従来の独裁的圧政を改め、民主主義と人権を尊重する国家として生まれ変わるべきという議論には異存はない。とはいえ、「経済発展によって人々は民主化を望むようになる」という主張は、ノーベル平和賞の一件を巡る共産党政府の強権的な動きによって一旦は頓挫した形になっている。グラスノスチ(情報公開)による急速な報道自由化でソ連が瓦解した前例もあり、共産党政府は温家宝首相の政治改革に関する発言が報道されないような強力な検閲体制を敷いており、この件については当然、慎重な姿勢を維持せざるを得ないだろう。

しかし、 2億人の失業者を抱え、暴動は年に10万件近くも起こるといわれる中国では今や、5%を超えるインフレが国民生活をさらに蝕もうとしている。昨年秋の尖閣事件後には、デモを反日目的に限定し、その矛先が政権に向かないよう統率する共産党政府の姿勢が浮かび上がった。国民の不満は鬱積しており、生活の向上やひいては政治的な自由を求める声が、いつ大きなうねりとなるかわからない情勢ともいえよう。

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