広島の「大和復活」が日本を護る - 地域シリーズ 広島
2020.06.29
大和ミュージアムから臨む呉港。中央にあるのが、戦艦大和が建造された呉海軍工廠の跡地に建つ工場。
2020年8月号記事
地域シリーズ 広島
ものづくり再興への未来図
広島の「大和復活」が日本を護る
製鉄・造船業の冷え込みにより、広島の製造業が打撃を受けている。
しかし、広島が培ってきたものづくりの精神は、そんな脆弱なものではない。
可能性を最大限に発揮し、「新復活」を遂げるための道筋がある。
(編集部 片岡眞有子、河本晴恵)
今年2月、国内鉄鋼最大手の日本製鉄が、2023年9月末を目途に呉製鉄所を全面閉鎖すると発表した。
関係会社を含め3300人ほどが働いており、地元経済への影響は計り知れない。呉市で生まれ育った60代男性はこのように語る。
「ものづくりの街である呉が、重工業から撤退していくようで非常に残念です。私自身、50年近く製造業に携わっていますが、仕事が減っているのを実感します。先行きが不安ですね」
製鉄所閉鎖の背後には、ダンピング(不当廉売)によって強引に世界シェアを奪う中国の存在がある。中国政府は自国の鉄鋼メーカーに莫大な補助金を投入し、一国で世界の鉄鋼生産の半分を占めるまでとなった。
福山市にある鉄鋼大手JFEスチールの製鉄所も6月、高炉1基が一時休止となった。新型コロナウィルスの感染拡大を受けてのことではあるが、業界の冷え込みを考えると、このまま縮小する可能性も否定できない。
日本勢を"駆逐"する中韓
近年、造船業も苦戦を強いられている。
広島は愛媛や長崎などと並び、日本有数の造船の地だ。19世紀に日本最古の造船ドックが倉橋町につくられて以来、日本の造船技術をけん引してきた。
しかしここ20年ほど、韓国の猛追により世界シェアを奪われ、全国で造船所の閉鎖・縮小が続いている。
韓国政府は自国の造船企業に公的助成をつぎ込み、採算の合わない安値受注で日本勢を駆逐せんとする。かつて日本が得意としてきたLNG(液化天然ガス)船も、今では韓国の"得意分野"だ。
広島を支えてきた基幹産業が、中韓の国策に押し込まれている。
古代まで遡る広島のものづくり魂
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