今も子育てしやすい街? 杉並の未来図 - 地域シリーズ 杉並
2018.12.24
写真提供:ピクスタ
2019年2月号記事
地域シリーズ 杉並
人気の民間人校長、学校選択制は廃止
今も子育てしやすい街? 杉並の未来図
東京23区の中で、保育や教育に力を入れているイメージがある杉並区。
実際のところと、未来への展望について調べてみた。
(編集部 駒井春香)
「公園や緑が多くて、若い夫婦や親子が住んでいるイメージがあります」「進学校や塾が多い印象です」―。
東京都民に杉並区について聞いてみると、こんな声が上がった。
確かに23区の中で、杉並区は「子育てしやすい教育区」というイメージがある。実際、2018年4月に、杉並区は「待機児童ゼロ」を実現したと発表。認可保育所を核とした保育施設整備に力を入れた結果だと、同区は胸を張る。
学業はどうか。杉並区には名門公立高の一つ、西高校があり、日大、国学院大、専修大など有名大学の付属校も多い。10~19歳の「塾人口」約3万5千人に対して、学習塾は約180件。これは塾人口がほぼ1.5倍の足立区と同じくらいの件数だ。
公立図書館の蔵書数は杉並区が23区でもっとも多く、千代田区や墨田区の実に4倍以上。貸出率も高く、読書好きの区民が多いといえる。
杉並区の保育・教育の現状は
数字だけを見ると、「子育てしやすい教育区」のイメージは正しいように思える。しかし杉並区民に聞くと、首を横に振る人が多い。待機児童ゼロに対して、「隠れ待機児童」はまだ多いという声や、保育所の立地確保のために区立公園を転用するなど、強引なやり方に「ハコモノ行政」という批判が高まっている。近所づきあいも気薄になり、子育てにおいて重要な、防災や治安にも不安があるという。
教育も、かつては学区を越えて通いたい学校を選べる「学校選択制度・学区選択制度」や、東京都初の民間人校長の登用など、先進的な取り組みを行ってきた。しかし現在、それらのほとんどは廃止されている。
「子育てしやすい教育区」としての姿が失われつつあるのだろうか。杉並の実情を調べた。
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