アメリカで強まる歳出削減路線 景気の底が抜ける?
2011.02.19
アメリカのオバマ大統領は1月の一般教書演説で、「今後25年の目標は、自動車による移動時間の半分で済むような高速鉄道を80%の米国人が利用できるようにすることだ」と表明し、アメリカに新幹線などの鉄道網を敷く考えを示していた。しかしながら、共和党系の州知事が相次いで、反対の声を挙げ始め、そのビジョンが立ち往生している。
フロリダ州知事が連邦予算を拒否。オハイオ州、ウィスコンシン州の知事も計画を批判した。いずれも昨年秋の中間選挙で勝利した共和党で、オバマ政権に対して歳出削減を求めている。
JR東海がフロリダ州を含め4カ所で受注を狙っていたが、これでアメリカへの鉄道インフラ輸出の出鼻をくじかれた格好だ。
オバマ政権と州政府の財政削減の動きを批判し続けているのが、ノーベル賞の経済学者、クルーグマン氏だ。「高失業率とデフレ時に緊縮財政をとるのは間違いだ」「このままでは、1937年のアメリカ、1997年の日本と同じになる」と主張している。
1937年は、ルーズベルト大統領が大恐慌後のニューディール政策を打ち切って、再びマイナス成長に陥ったことを言っている。1997年は橋本政権の財政再建路線によるデフレ不況の悪化だ。
アメリカ経済は回復基調にあるとされているが、米政府も地方も支出カットを本格化すれば、景気の底が抜ける可能性もある。欧州各国も緊縮財政に舵を切り、日本も財政再建と称して消費税増税に動く。クルーグマン教授の不安が世界的に広がっている。(織)
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