豊洲問題、いったいなんだったの?――表なつこ氏【都議選・もっと身近な東京問題】
2017.06.15
幸福実現党
江東区代表
表 なつこ
(おもて・なつこ)1983年広島県生まれ。広島修道大学卒業後、学習教材の販売会社などを経て、現職。社会人教育機関「HS政経塾」第5期生。
豊洲市場の都民向け見学会が14日、開催された。筆者も見学することができたが、その建物・設備の立派さに、改めて驚かされた。
市場内は、何重もの扉で閉鎖された空間となっている。壁の無い建物や、大型トラックが出入りするすぐ横で、水産物などの取引が行われている築地市場とは大違いだ。地下水の管理などの安全対策についても、詳しく説明を聞くことができた。
豊洲では「地下水の汚染物質」などが騒がれたが、それはあくまでこの立派な建物のコンクリートを隔てた地下の話。空気中に排気ガスが漂う築地と比較したときに、豊洲が安全と感じるのが自然な感覚だろう。
一部報道などでは「新市場は、荷物を運搬するターレが曲がりにくいなど、使いにくい設計だ」といった指摘もある。しかし、「実際に、市場関係者にターレを運転してもらって検証している」という話も聞いた。
参加者に話を聞くと「説明を聞いたら安心できた」「こんなに立派な建物だとは思わなかった」と口々に言う。
「豊洲は危険だ」という印象がここまで広がる前に、都はこうした見学会をもっと早くに開催するべきだったし、設備や安全面の配慮などについて、もっと情報発信すべきだった。
「豊洲市場」という文字には、まだ布がかけられている。
豊洲民には「都民ファースト」ではなかった
小池都知事が13日、豊洲移転を前提に調整するよう都幹部に指示を出したと報じられた。判断自体は妥当だが、そもそもの「移転延期」の判断が、多くの失望を生んだ。
移転延期について、豊洲の自治体の方々の話を伺ったことがある。
自治体としては、「単なる物流拠点であれば、市場の誘致はOKしなかった」そうだ。「単なる物流拠点ではなく、市場の誕生により、にぎわいを創出してもらいたい。そして、人口も増えているので、交通網も整備して欲しい」という要望を出し、それを東京都に了承してもらったという。
地域としてはそれを楽しみにしており、「さあ移転だ。この地域はこれからもっと賑やかになっていくんだろうな」と思っていたところで、突然の移転延期が告げられた。
それも、移転延期について江東区には、東京都から事前通告がなかったそうで、地元には相当な衝撃だったらしい。
市場移転延期で建設が止まってしまった「環状二号線」
また、移転延期でストップしてしまった環状二号線についても、地域の方々は「この道路が使えたら非常に便利になるのに」と思いながら、"遠まわり"して仕事に向かわれたりしているとか。
また、豊洲から他の地域の学校に転校した子供が、「汚染されている」などといじめられる、といった話も耳に入ってきた。小池知事が"騒いだ"ことによる風評被害は、拭うのに時間がかかるだろう。
豊洲の方々にとって、今回の移転は何も「都民ファースト」ではなかった。小池知事の掲げる「都民ファースト」は、本当に都民の悩みに向き合っているとは思えない。
豊洲の真の課題は「取引量」
豊洲の本当の課題は、他にある。
築地で働いている方々にお話を伺ったとき、「取引量が年々減っている。これからも儲かるなら、豊洲に移転してもいいけど、そうでないならわざわざ移転しなくても……」と、諦め感を持っていらっしゃる方が多かった。
実は、2002年から15年にかけて、築地市場の水産物の取扱量は、64万トンから44万トンへと30%以上も減っている。背景には、スーパーなどが市場を介さない産地直送を増やしていることなどがある。
何とか市場の競争力を上げ、取引額を復活させる方策を考えなければいけない。
例えば、朝のセリにネットオークションという形で参加できるようにする。国内やアジアなどであれば、羽田空港を経由して、即日受け取れるようなシステムをつくれる。そうすれば、世界に「豊洲ブランド」を広めることができる。
都政には、既成勢力を象徴する"問題"を取り上げて騒ぎ立てるのではなく、都民のリアルな悩み・課題に向き合うことが求められているのではないだろうか。
【関連サイト】
幸福実現党東京都議選 特設ページ
https://hr-party.jp/senkyo/2017togisen/
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2017年2月9日付本欄 黒い排ガス、戦前の建物……築地に行って見えた本当の「移転問題」(前編)
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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