ブルンジで内戦前夜 国連が警告
2015.12.19
国連によると、中央アフリカの小国ブルンジが、「内戦の瀬戸際にある」という。
11月には68人もの人が超法規的な手段で殺害されており、12月上旬だけで、87人もの人が犠牲となっている。
権力にしがみつく大統領
ことの発端は去る4月、ピエール・ンクルンジザ大統領が、6月の大統領選に出馬する意向を表明したことだ。ブルンジの憲法上、大統領は2期しか勤めることができないが、ンクルンジザ大統領は強引に憲法を書き換え、選挙を行った。
5月には軍によるクーデターがあり、ンクルンジザ大統領は対抗手段として数百人の政府・軍関係者を殺害し、3500人ものデモ勢力を逮捕した。
政権に抗議する野党は6月の選挙をボイコットし、ンクルンジザ大統領が再選された。それ以来、大統領に反対するデモ隊や野党勢力が、軍や警察と衝突を繰り返している。
すでに22万人もの難民が隣国に脱出しており、混乱は収まるどころか、激化の一途をたどっている。
アフリカの世紀を創るには?
ブルンジは、1993年から2005年にかけて、30万人もの命を奪った内戦を経験している。内戦の理由は、人口の85%を占める「フツ族」と、14%の「ツチ族」との対立だった。当時、ツチ族にコントロールされていた軍が、メルシオル・ンダダイエ大統領(フツ族)を殺害したのを受けて、ンクルンジザ氏がフツ族の武装集団を率いて抵抗を始めたのだ。
ブルンジの内戦は、隣接するルワンダが1994年に経験したものに似ている。ルワンダでも、フツ族とツチ族の対立で、50万~100万人もの人々が虐殺された。
それにもかかわらず、国際社会は見て見ぬふりをして介入しなかった。豊富な資源に恵まれてはいるが、アフリカは国際社会に大きな影響を与えないとして、虐殺などが起きても、無視される傾向にあったのだ。
そのため、アフリカは「忘れられた大陸」と呼ばれてきた。
しかし、これからはそうであってはならない。このような虐殺を止めるには、民族間の違いを乗り越えるための、共通の思想やアイデンティティーが必要となる。その上で、先進国の良いところを取り入れれば、アフリカは今世紀中にも繁栄を手にすることができるはずだ。
その「繁栄創り」に、日本も積極的に協力すべきではないだろうか。(中)
【関連記事】
2015年10月23日付本欄 ラグビーで勝ち、経済で負ける南アフリカ 中国語教育の前に母国語教育の充実を
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10377
2015年11月28日付本欄 「アフリカの北朝鮮」 難民はシリアばかりではない
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10555
2015年11月号記事 ヨーロッパへ大量流入する難民 日本は受け入れに協力し大国の使命を果たすべき - The Liberty Opinion 5
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
「ザ・リバティWeb」協賛金のご案内
YouTubeチャンネル「未来編集」最新動画