2014年9月号記事

集団的自衛権行使容認は当然だ

「正義ある平和」の実現を

安倍内閣が7月、集団的自衛権の行使を認める閣議決定を行った。国会で、安倍晋三首相は「あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置に限られている」として理解を求めた。

だが、一部マスコミや野党は強く反発。「『戦地に国民』へ道」(東京新聞)、「憲法死滅」(日刊ゲンダイ)などの見出しを掲げて国民の恐怖をあおっている。

そもそも集団的自衛権は、国連憲章で初めて明文化されたもので、「個別的又は集団的自衛の固有の権利」として国際的に認められている。しかし日本では、これまで「集団的自衛権の権利を有するものの、行使はできない」との政府解釈が踏襲されてきた。これは「自衛隊は軍隊にあらず」という理論と同様、極めて不可思議な解釈と言える。 国民を守るために、この矛盾を整理した安倍首相の決断は当然であり、評価すべきものだ。

解釈改憲を追認してきた左翼

朝日新聞などは、解釈を変えること自体が"悪"であるかのように安倍政権を批判するが、 憲法の解釈変更は、これまで何回も行われてきた。

戦後まもない時期は、個別的自衛権すら認められなかったが、1950年からの朝鮮戦争を機に、日本は個別的自衛権を認める方向に転換。これを受けて、自衛隊の前身である警察予備隊が発足した。

自衛隊の存在は違憲だと主張してきた日本社会党も、94年に村山政権が発足した途端に、自衛隊を合憲と認めた。朝日新聞なども、解釈変更の度に反対を唱えてきたが、その後、国際情勢の変化に背中を押される形で追認している。

そうした"前歴"を持つ左翼の主張は、説得力がないのではないか。

南シナ海で暴れる中国アジアから歓迎される日本

一方、海外の反応は国内とは大きく異なる。フィリピン、オーストラリア、シンガポール、ベトナム、マレーシア、タイ、インドネシアなど、多くのアジア諸国が今回の日本の決定を支持している。

とりわけ目を引くのが、中国との領有権問題を抱えるフィリピンのアキノ大統領だ。「日本政府が他国を助ける力を得れば、善意の国家にとっては恩恵あるのみだ」。こうした発言が、南シナ海で暴れている中国を念頭に置いていることは言うまでもない。

実は、 反日外交を続ける中国や韓国すらも、日本の集団的自衛権に対して、反対の大合唱をしているわけではない。 安倍内閣が閣議決定をした当日、中韓の報道官はともに「注視する」と述べた程度。国際的にも極めて当たり前の権利であることが分かる。 結局、猛反対しているのは、日本の一部マスコミと左翼系の団体だけなのだ。

日米同盟を強化しアジアを守れ

5月の記者会見で、集団的自衛権の行使の必要性を訴える安倍首相。写真:アフロ

集団的自衛権の行使を認めるべき理由は、アメリカとの同盟関係の強化にある。

米議会では、上院が7月半ばに、南シナ海で緊張を高める中国に対し、非難決議を採択。その後、中国は同海域で進めていた石油掘削をやめ、突然、撤収した。このことからも、中国に対抗できる力を持つアメリカとの連携を強める集団的自衛権の必要性は明らかだ。

中東から石油の約9割を輸入する日本にとって、南シナ海を通るシーレーンの安全確保は、国益の中でも最重要視されるべきもの。 日本は、アメリカと共に中国の脅威におびえるアジア諸国を守り、南シナ海の秩序を維持すべきである。

滅亡したカルタゴの歴史を繰り返してはならない

大川隆法・幸福の科学総裁は、近著『「集団的自衛権」はなぜ大切なのか』の中で、かつて貿易などで栄えたカルタゴの例を引き、「(自国の防衛を) 傭兵に頼り、経済的繁栄だけを求めたカルタゴは、 (ローマに) 徹底的に殲滅された」「富だけを求めた国民は、憎まれて滅ぼされた」 と語った。

また、左翼の訴える"平和"に触れ、 「正義なしの平和はおかしい」 と指摘。大きな勢力に屈服する形の平和を認めれば、新バビロニア王により、強制連行の目に遭ったユダヤ人(バビロン捕囚)になってしまうと述べた。

日本は目の前に迫る中国の脅威に対抗し、アジアの平和を守るべきだ。そのためにも、現行憲法のうそや矛盾を解消するための憲法改正が必要だ。一方で、改正手続きにこだわるあまり、国防力の強化を怠ってカルタゴの歴史を繰り返してはならない。