2014年5月号記事

The Liberty Opinion 2

「新たな冷戦」ではない

日本は中国包囲網に向けロシアと新たな関係構築を

ロシアが軍事介入しているクリミア自治共和国で3月、ロシア編入を問う住民投票が行われ、賛成票96.7%の圧倒的な支持を得た。同自治共和国は「クリミア共和国」としてウクライナから独立することを宣言し、ロシア政府もクリミアの独立を承認、編入する方針を発表した。

この動きに対し、「ウクライナに対する主権侵害」「国際法無視」と反発するアメリカとEUは、ロシアとクリミアの要人を中心に、資産凍結や渡航禁止などの制裁措置を決定。 米ホワイトハウスは同月17日、「アメリカはさらなる政治的、経済的代償を科す追加措置の用意がある」との声明を発表し、クリミア併合を強く牽制している。

米露の緊張について、旧ソ連が1968年にチェコスロバキアの民主化運動を鎮圧した出来事を引き合いに出し、「新たな冷戦」を危ぶむ報道も多い。だが、 ロシアが旧ソ連のような軍事独裁国家に回帰すると考えるのは早計だろう。