台湾の蔡英文総統は3月29日、外遊前に台湾の桃園国際空港で「外圧があろうと、私たちが世界へ向かう決意を妨げることはない」と演説した(画像: jamesonwu1972 / Shutterstock.com)。

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台湾の蔡英文総統は、外交関係を持つ中米諸国を歴訪するため、3月29日に経由地・米ニューヨークに到着しました。

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ロイター通信の報道によると、蔡氏は29日夜にニューヨークで、在外台湾人を対象とした非公開の講演会を開催。「台湾はアジアにおける民主主義の導き手だ」と指摘し、経済と安全保障の協力において、「台湾とアメリカの関係はこれまでになく緊密」などと述べました。

蔡氏は、31日に中米のグアテマラ、4月2日に中米のベリーズを訪問します。そして台湾に帰る際、経由地のロサンゼルスで、下院議長のケビン・マッカーシー氏と会談する見通しです。

元々、マッカーシー氏は台湾を訪問する予定でしたが、台湾当局が「中国を刺激し過ぎる」と判断。マッカーシー氏が訪台する代わりに蔡氏がアメリカに立ち寄る形で面会することを提案し、マッカーシー氏は提案を受け入れたという経緯があります。

台湾とアメリカは国交を樹立していないため、蔡氏は公式にアメリカを訪問できません。そのため4年前と同じく、他国(今回は中米)を訪問する際の経由地として、蔡氏が「非公式で個人的に」立ち寄るという形を取り、訪問場所も首都ワシントンD.C.を避けました。

また、時期を同じくして、台湾前総統の馬英九氏(最大野党の国民党所属)は、中国からの招待を受けて、台湾の総統経験者として初めて中国を訪問中です。

馬氏は3月30日、中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室トップである宋濤(そう・とう)主任と会談し、「両岸の同胞は同じ中華民族に属する」と指摘。「一つの中国」の重要性を強調し、「両岸は交流を維持し、一切の戦争や衝突を避けなければならない」などと語りました(31日付NHKニュース)。

馬氏は28日に南京にある国民党の創始者・孫文の墓を訪れた際、「中国大陸と台湾はともに一つの中国に属する」という立場を取る談話を発表。29日に南京記念館を参観した際は、「我々中国人は、(中略)外国からの侮辱に勇敢に抵抗しなければならない」などと述べました。

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