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かつてジョージ・W・ブッシュ米政権で財務長官を務めたヘンリー・ポールソン氏が、「アメリカの対中政策は機能していない」と題した論考を、米誌フォーリン・アフェアーズにこのほど寄稿しました。

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「親中派」の一人と目され、米中関係の改善を主張するポールソン氏は今回の論考で、中国とのデカップリング(分離)で中国依存度を下げるよう各国に求めるワシントンのアプローチを「less of China(レス・オブ・チャイナ)戦略」と表現し、アメリカの国益を損ねていると問題視します。

対中政策が機能していない根拠としてポールソン氏は、南半球を見ると、中国とアフリカの貿易が2021年に歴史的な水準に達したほか、アメリカなどが進める中国企業ファーウェイなどを集中的に排除するキャンペーンを「ヨーロッパとインド以外の地域ではほとんどうまくいっていない」などと指摘。一方の中国はワシントンの戦略に対し、アメリカ以外の国を味方につけようとしている「more of everyone but America(モア・オブ・エブリワン・バット・アメリカ)戦略」で対抗していると分析します。

ポールソン氏は「ある程度のデカップリングは避けられない。ハイテクの場合、いくつかの対象を絞ったデカップリングは絶対に必要だろう。しかし、全面的なデカップリングは意味がない」と語っています。

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