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2023年3月号記事

芥川龍之介が見た「地獄」の真相

天才小説家の「はるかなる眼」に映じた魂の真実に迫る。

芥川龍之介は、『羅生門』や『鼻』のように、歴史に題材を取って、切れ味鋭い文章で人間心理を描いたインテリ作家というイメージが強いかもしれない。

だが、その文学の全体像を見ていくと、そうした先入観に収まらない深遠な作品も数多い。苦悩を越える道を求め、生涯を通して仏典や聖書、中国や日本の古典を読み通した真の知識人でもあるからだ。

『蜘蛛の糸』や『杜子春』、『西方の人』『続西方の人』『奉教人の死』―多くの名作を生んだ芥川の教養の奥には、高い宗教的見識があったことが分かる。

そのなかでも印象的なのは、霊的世界を見てきたかのような作品である。

そこで今回は、『蜘蛛の糸』と『杜子春』に焦点を当てて、その文学が描き出した霊的な真実を探ってみたい。

 

次ページからのポイント

仏が与える救いのきっかけとは

思いひとつで展開する霊的世界

芥川の作品には、霊界からの導きがあった