《ニュース》

韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)新政権が、前政権が正式配備を遅らせていた地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の配備に動き、このほど基地の工事に必要な重機などを搬入しました。

《詳細》

中国の領土を監視できるTHAADをめぐり、中国と韓国には、3つのノーを意味する「三不」(THAADの追加配備をしない、アメリカのミサイル防衛に入らない、日米韓同盟に参加しない)と呼ばれる了解事項があると言われています(韓国側は、約束や合意ではないというスタンスですが、中国側はそうではないと主張)。文在寅前政権は中国に配慮し、環境影響評価などを理由に配備を遅らせていました。

そんな中、韓国の朴振(パク・チン)外交部長官と中国の王毅外交担当国務委員兼外交部長による外相会談が8月9日に行われ、王氏が「アメリカが韓国にTHAADを配備したことは明らかに中国の戦略的安全保障利益を損なっており、中国は韓国に何度も懸念を表明した点を指摘したい」「韓国政府は対外的に三不一限の政治的宣誓を正式に行った」などと語り、三不に加えて、すでに配備されているTHAADの運用を制限するという「一限」の存在を明らかにし、韓国世論は内政干渉であるとして紛糾しました。中国はこれまで、一限について公の場で持ち出したことはありませんでした。

これを受け韓国の大統領室は8月、「(三不に関して前政権から)引き継ぎを受けたものはない」と説明。「THAADの運用正常化は進められており、速いペースで正常化している」「8月末ごろにはほぼ正常化するとみている」などと語り、前政権が先送りにしていたTHAADの配備を進める意向を示しました。そして9月4日未明、ブルドーザーなどの重機を基地に搬入し、計画を本格化させる構えを見せています。

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