2022年7月号記事

Mass communication

マスコミ民主主義が世界を滅ぼす

政府もマスコミも世論も、ウクライナ支援一色に染まる風潮は、情緒的な情報に左右されやすい民主主義の欠点を浮き彫りにさせている。
大衆扇動に惑わされないようにするにはどうすべきか。


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「プーチンは悪魔である」「ロシアが一方的に戦争を望んだ」「ロシアは卑劣な兵器を使って、民間人を計画的に虐殺している」「ウクライナ軍の損害は少なく、ロシア軍は甚大である」──。

アメリカやウクライナなどが発信するこれらのストーリーは、テレビや新聞、インターネットニュースなどに連日流れている。その影響を強く受ける日本では、「西側諸国と足並みを揃えるべき」という見方が大勢を占める。

ウクライナのゼレンスキー大統領のことを少し前まで知らなかった人たちまでも、「ゼレンスキー大統領は優れた指導者」「ロシアは戦争犯罪国」というイメージが脳裏に刷り込まれている。

こうした中、大川隆法・幸福の科学総裁は、国際政治学者などが指摘しない事の本質には、マスコミの多数派が世論を動かし、政治を誤った道に歩ませる「マスコミ民主主義」の問題があると一貫して提起しており、全世界はそれに踊らされてはならないと強く警告を発している。

その視点から見ると、冒頭のストーリーは全て『戦争プロパガンダ10の法則』(アンヌ・モレリ著)などで指摘されているプロパガンダの典型例であることが分かる。つまり、アメリカなどが国際世論を味方につけ、他国を戦争に巻き込むPR戦略であることに注意すべきだ。

これを軍事的に言えば、感情を揺さぶる衝撃的な情報(嘘情報も含む)を一般大衆に"絨毯爆撃"することで、人々から冷静な判断力を奪い、大衆を扇動する。すると大衆は、他国が流す意見を自らの意見であると誤認し、他国が望む政治判断を進んで行う──。これは「認知戦」と呼ばれ、21世紀のプロパガンダと称されている。

後述するように日本は平和ボケのせいか、「アメリカなどの情報戦争にのみ込まれていることに気づいていない」のが現状だ。

言論の全体主義化

アメリカやウクライナなどが発信する一方的な情報について、メディアは拡声器の役割を担って全ての結論を「ロシア悪し」「プーチン狂人説」に持っていく。これは多様な意見を担保するはずの民主主義を殺しているに等しく、「言論の全体主義化」を進めていると言え、憂うるべき事態である。

深刻なのが、大局的な判断をすべき西側の指導者が、自らの人気取りのためにマスコミの大衆扇動に迎合、あるいはそれを仕掛け、核大国ロシアを追い込み、世界大戦の構図をつくり上げようとしていることだ。

本特集で紹介するのはウクライナとロシアの二項対立の分析ではない。マスコミ報道の問題を解明し、多くの人にとって目から鱗が落ちる「考える材料」を提供することが目的である。

 

次ページからのポイント

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