2022年6月号記事

ニッポンの新常識

軍事学入門 23

ウクライナ問題とナイーブ過ぎる日本

社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について専門家のリレーインタビューをお届けする。

フリージャーナリスト

竹内 修

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(たけうち・おさむ) 1970年、長野県生まれ。立命館大学法学部卒。軍事月刊誌「PANZER」「エアワールド」などの編集に従事し、現在はフリージャーナリストとして、軍事雑誌等に寄稿している。

ロシアによるウクライナへの軍事作戦は「侵略」に当たり、国際社会が許容しないのは周知の事実です。しかし、それで感情的に反応してウクライナを支援し、ロシアを敵に回すデメリットが何であるかを考えないなど、日本全体が思考停止の状態にあるのは大いに問題です。

ナポレオン、ヒットラーにロシアが勝った訳

そもそもロシアにとって、ウクライナはどういう価値があるのか。歴史を遡れば、ナポレオン戦争やナチスのソ連侵攻で、ロシア側が徹底抗戦し、冬将軍の到来で辛くも勝利できたのは、ウクライナがあったからです。独ソ戦は沖縄戦を超える壮絶な戦いとなり、ロシア側だけで数千万人の犠牲者が生まれたとも言われています。もしナポレオンやヒットラーがウクライナを事前に支配していれば、ロシアの首都モスクワは二度陥落させられ、大変な不幸が広がったと思います。