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中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は20日、強制労働を禁じる2つの国際条約の批准を発表しました。

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中国が批准した条約は、国連の専門機関である国際労働機関(ILO)が1930年と57年に採択した強制労働廃止に関するものです。条約は批准国に対して、政治的な見解を表明したことへの制裁や宗教的な差別の手段として、強制労働を科すことを禁じる内容。批准国は条約規定の実施のために取った措置をILOに報告する義務を負います。

今回の条約批准は、強制労働の存在が指摘される新疆ウイグル自治区を国連人権高等弁務官が訪問するのを前に、「潔白」を強調する狙いがあると見られています。

ウイグルの強制労働をめぐっては、アメリカ、欧州連合(EU)、イギリス、カナダが人権侵害を理由に昨年3月、一斉に対中制裁を発動、EUは2020年12月に中国と基本合意した投資協定の手続きも凍結しています。

投資協定の基本合意では、中国が強制労働廃止条約の批准に向けて努力するとも記されていました。中国は条約の批准によって、棚上げとなっている協定の批准手続きを前進させる狙いもあると指摘されています。

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