2022年1月号記事

ニッポンの新常識 軍事学入門 18

ハバナ症候群と音響・電磁波兵器


社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について専門家のリレーインタビューをお届けする。


元陸上自衛隊中部方面総監

山下 裕貴

18976_01.jpg
(やました・ひろたか)1956年、宮崎県生まれ。第三師団長、陸上幕僚副長、中部方面総監などの要職を歴任した元陸将。陸自の特殊部隊「特殊作戦群」の創設にも携わる。現在、千葉科学大学と日本文理大学の客員教授を務める。著書に『オペレーション雷撃』(文藝春秋)。

世界各地の米大使館などで働く外交官らが、原因不明の健康被害を訴える問題がクローズアップされています。

アメリカのホワイトハウス周辺やカナダ大使館、中国・広州の米総領事館などで被害が発生。過去5年間で200人以上が、頭痛や聴覚障害、めまい、吐き気などのさまざま症状をもよおし、米政府が現在本格的な調査に乗り出しています。

2016年に、キューバの首都ハバナで勤務していた米外交関係者が初めて報告したことから、「ハバナ症候群」と呼ばれています。

すでに音響兵器は社会的に使用されている

ハバナ症候群が自然現象によるものか、米政府を狙った他国による攻撃か、集団ヒステリーによる錯覚かは今のところまだ判断できません。

ただし症状から察すると、相手を殺傷することなく、攻撃した痕跡が残りづらい「音響兵器」と「電磁波兵器(指向性エネルギー兵器)」に似ているようです。