2021年12月号記事

ワクチンは神ではない


混乱が続く新型コロナウィルスのまん延に対し、日本政府は今、「ワクチン接種」で対抗し、経済の回復を目指している。
まるで、ワクチンを神に祀り上げようとする「ワクチン全体主義」に見えるが、それで未来は拓けるのか──。


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ワクチンは神ではない - Part 2 コロナで露呈した医学信仰の限界


コロナで露呈した医学信仰の限界


人間を単なる「物体」として見る現代の医学に、警告が降ろされている。


コロナ感染がまん延する中、マスコミは病床逼迫に焦点を絞り、"医療崩壊"だと騒いできた。ワクチン接種を急ぐのもそのためだ。

「感染症法上、2類か5類か」などといった細部の議論にはここで立ち入らないが、政府および専門家の混乱具合は目に余る。たとえば、感染経路のごまかしだ。

すでに世界的に、コロナの感染経路は「空気感染(エアロゾル感染)」だと明らかになっている。だが日本の専門家会議は、コロナ感染が国内で初めて確認された段階で「空気感染ではない」と断言。「主な感染経路は飛沫と接触感染」だと自説を唱え、消毒や手洗い、アクリル板の設置など、効果の低い対策を強力に推し進めてきた。

こうした"思考停止"が感染拡大を招いたとして、8月には、38人の科学者や医師など専門家が連名で緊急声明を発表する"事件"が起きた。

声明に名を連ねた愛知県立大学の清水宜明教授(感染制御学が専門)は、政府の専門家会議が「マイクロ飛沫感染が感染経路」だと言い始めたことに対し、「海外の論文でも見たことのない造語」「いまさら『飛沫』は外せない。さりとて『空気感染』とは言いたくないと、無理やりひねり出したのでしょう」と指摘する(*1)。

度重なる緊急事態宣言や自粛要請など、居丈高に国民を統制しているが、その足元はひどくおぼつかない。

(*1)2021年9月15日付毎日新聞夕刊。

 

次ページからのポイント(有料記事)

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