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中国の「一帯一路」構想で進められてきた中低所得国への融資のうち、政府負債に含まれていない「隠れ債務」が、合計で約43兆円あることが分かりました。

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アメリカのウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所が9月29日に発表した報告書では、各国の対中隠れ債務が合計で約43兆円あることが明らかになりました。ラオスがGDP比で35%と最大となり、すでに公表している政府債務と合計すると、実に64%に及ぶ規模となっています。

2013年以降、中国の投資は国有企業や金融機関向けが7割を占めています。そのほとんどに、暗黙の「政府保証」が付いているとみられていますが、政府債務として報告されていないため、実体が把握できない状況にあります。

17年には、中国への債務返済が滞ったことを理由に、スリランカのハンバントタ港が99年間、中国の国営企業に租借されることとなりました。こうした事例から、中国が「債務の罠」を仕掛けていることが認識され始めており、中国による融資は鈍っています。今年6月には、アフリカのコンゴ共和国が対中債務24億ドル(約2600億円)について交渉し、返済延期に同意したことを、ロイター通信が報じました。

エイドデータは、中国政府が一帯一路を打ち出す前から、外国の建設事業で中国国内の建設業と工業部門の仕事を絶やさないことや、石油や穀物などの商品を確保することを目指していたことが明らかになったと指摘。エグゼクティブディレクターのブラッド・パークス氏は、「途上国が中国の問題解決を手助けしている」とコメントしています。

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