《ニュース》

フェイスブック社は数年間にわたる調査の結果、「写真共有アプリ『インスタグラム』が多くの若者にとって有害」という事実を知っていました。14日付米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じ、大きな話題を呼んでいます。

《詳細》

WSJが独自に入手した内部文書によると、フェイスブック社は少なくとも3年前から、傘下のサービスであるインスタグラムが若いユーザーに与える影響について詳細な調査を行っていました。しかし、同社は公に発表していませんでした。

その文書の中には「10代の3人に1人が、インスタグラムが原因で体形コンプレックスを悪化させている」「インスタグラムの利用が原因で、不安や食欲不振などの抑うつの症状を発生する確率が増えた」などの報告が含まれていました。また自殺願望があると報告した10代の若者のうち、アメリカでは約6%、イギリスでは約13%が、その原因はインスタグラムにあると述べています。

インスタグラムは身体やライフスタイルに大きくフォーカスしたサービスですが、研究者たちはこの特徴そのものが悪影響の原因であると分析しています。

さらにアプリ内の、観覧履歴や投稿内容などを分析し、表示内容を変えるアルゴリズムにも問題があるとの声も上がっています。例えば19歳のリンゼイ・ドビンさんは、体を鍛える方法を検索したところ、彼女のインスタグラムの閲覧ページが「痩せる方法」「理想的な体形」「食べるべきもの、食べてはいけないもの」で埋め尽くされたと記事内で語っています。「インスタグラムを開くたびに、自分が攻撃されているように感じます」というのです。

しかし、こうした状況に陥っている若者のほとんどが、インスタグラムを含むSNSの利用時間を少なくしたいと思いつつも、それができないでいます。内部文書の中で、インスタグラムの調査員は、「若者は中毒になっていると感じ、これはやめなければならないとは理解しています。しかし、止められないようです」と説明しています。

WSJが公開した資料では、若者がアプリビジネスの成功に重要な役割を果たしている点も強調されています。インスタグラムのユーザーの40%以上が22歳以下で、彼らの利用による年間収益が1000億ドル(11兆円)と、フェイスブック社にとって欠かせない存在であると指摘されています。

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