《ニュース》

約195万人に上る中国共産党員のリストがリークされ、上海にある各国の総領事館や、日本企業を含めた、防衛や医療産業などに関係する複数の企業において、共産党員と疑われる人物が多数雇用されている可能性が判明しました。

《詳細》

リストは、反体制派の内部告発者からリークされたものと見られ、データを持ち出した匿名の人物が今年9月、18カ国の国会議員らが構成する「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」に持ち込んだとのことです(IPACについては、「欧州で急速に進む反中シフト 世界認識は『米中』から『独裁国家との戦い』へ」を参照)。

IPACは同月、入手したデータを豪紙オーストラリアンや英紙メール・オン・サンデーなどに共有。本件について今月13日、次のように声明を出しています。

「IPACの代表者は非政府の情報源からリストを受け取ったが、それを検証する立場にはないため、専門家に提供した。それ以降、記者たちが調査を行い、実に憂慮すべき事態が判明した」

リストには、各党員の生年月日や民族、党内での地位などが記され(電話番号や住所まで記載されている場合も)、7万9000ほどの「支部」に分割されているといいます。IPACからデータを受け取った各紙の報道によると、防衛・航空事業を展開する米ボーイングや、新型コロナウィルスのワクチンを開発している米製薬企業のファイザーや英製薬会社のアストラゼネカなど、重要技術に関わる企業が、共産党員のリストに名前がある人物を多数雇用していることが分かりました。

加えて、上海にあるアメリカやオーストラリア、イギリス、ドイツなど少なくとも10の総領事館など外国公館で、共産党員が上級専門家や顧問、秘書などとして雇われていたことも判明。安全保障上、深刻な懸念があると国内外で広く報じられています。

《どう見るか》