2021年1月号記事

元自衛隊幹部鼎談


中身がなかった? 現場のホンネを代弁!

安倍"防衛政策"を検証する


安倍晋三前首相から事実上の禅譲によって発足した菅政権。
菅首相は安倍氏の外交安全保障政策を引き継ぐと発信し
支持層の不安を払しょくした。だが、果たしてそれで大丈夫なのか。
陸・海・空の元自衛隊幹部に、安倍前政権の防衛政策を総括してもらい
日本のあるべき国防を考えたい。

(編集部 山本慧)

 

元陸上自衛隊・
西部方面総監

用田 和仁

Profile

(もちだ・かずひと) 1952年生まれ。防衛大学校第19期生。陸上幕僚監部教育訓練部長、統合幕僚監部運用部長、第7師団長を歴任。元陸将。現在、日本安全保障戦略研究所上席研究員を務める。共著に『日本と中国、もし戦わば』(SBクリエイティブ)がある。

 

 

元海上自衛隊・
潜水艦隊司令官

矢野 一樹

Profile

(やの・かずき) 1955年生まれ。防衛大学校第22期生、米国防大学修士(国家資源管理)。大湊地方総監部幕僚長や海上幕僚監部装備部長を歴任。元海将。現在、日本安全保障戦略研究所上席研究員を務める。著書に『台湾有事と日本の安全保障』(ワニ・プラス)がある。

 

 

元航空自衛隊・
幹部学校教育部長

本村 久郎

Profile

(もとむら・ひさお) 1954年生まれ。防衛大学校第21期生。西部航空方面隊司令部幕僚長、防衛大学校防衛学教育学群長を歴任。元空将補。現在、日本戦略研究フォーラム政策提言委員などを務める。共著に『日本と中国、もし戦わば』(SBクリエイティブ)がある。

 

 

──日本の防衛政策を展望する上で、同盟国アメリカの政治は、日本に大きな影響を与えます。現時点で大統領選をどう見られますか(11月17日時点)。

用田氏(以下、用田): はっきり言えば、民主主義国の恥をさらしたと言えます。民主党のバイデン氏が、中国などからお金をもらったのに加え、同党が組織的な不正投票を行い、大統領選に勝とうとした疑惑が浮上しています。独裁国家の中国は、アメリカを見てせせら笑っていることでしょう。

日本のマスコミは、バイデン氏勝利で固まっていますが、同氏が政権をとればどうなるかを考えていないようです。バイデン政権が誕生すれば、アメリカの力は弱体化し、中国に融和政策をとります。日本の親中派(経団連や公明党など)は、ここぞとばかりに中国に急接近。中国は、南シナ海や東シナ海などで覇権を拡大させるはずです。

一方、トランプ大統領が再選すれば、新型コロナウィルスを広げた責任を取らせるべく、対中強硬路線を強めます。どちらの政権が、日本にとって望ましいのかは明らかです。

本村氏(以下、本村): :バリバリの親中であるスーザン・ライス氏が、バイデン政権の国務長官、または大統領補佐官(国家安全保障担当)になる可能性があります。G2(米中二極体制)を提唱していた同氏は、中国の台頭を許容すると見られ、アジアは終わるでしょう。もし共和党が上院で過半数を占めれば、国務長官の就任に反対します。そのため、議会の承認を必要としない補佐官になるかもしれません。ライス氏は日本の害毒なのです。

 

次ページからのポイント

安倍さんの口だけの防衛強化を菅政権は踏襲する

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