米共和党全国大会で演説する陳光誠氏。(2020 Republican National Convention/ロイター/アフロ)

盲目の人権活動家として著名な陳光誠氏が、8月26日、アメリカ大統領選を控えた共和党全国大会で演説を行った。陳氏は、山東省出身の弁護士で、一人っ子政策をめぐる強制中絶に関する抗議活動で実刑判決を受けた後、2012年4月に、当局による自宅軟禁から脱出して北京の米大使館に逃れた。同年5月には、中国本土からアメリカに事実上の亡命をしている。

4日間にわたり開催された共和党全国大会では、トランプ大統領が指名受諾演説で、コロナ問題をめぐり「中国が引き起こした悲劇の責任を、完全に取らせる」と発言して、中国共産党政権との対決姿勢を鮮明にしたが、陳氏は、大会の3日目に登壇して、こうしたトランプ大統領の対中政策を支持して再選を訴えた。

特に中国の現状に対して、陳氏は「中国共産党は人類の敵だ」と述べたほか、他の民主主義国もアメリカのトランプ政権の方針と連携することを求める発言をした。

陳氏の共和党全国大会での発言は、以下の通り。

「圧政に立ち向かうことは、簡単なことではないです。私は、それを知っています。

中国での『一人っ子政策』や、その他の不正に反対して声を上げた時に、私は中国共産党によって迫害され、殴られ、投獄され、自宅軟禁に置かれました。

2012年4月に、私はそこから脱出して、北京にあるアメリカ大使館に保護してもらいました。そして、私と家族はアメリカに来て、自由になることができました。私たちを受け入れてくれたアメリカの人々に対する感謝を、私は決して忘れません。

中国共産党は、人類の敵です。自国の人々を恐怖に陥れ、世界の幸福を脅かしています。

中国では、中国共産党が認めていない信条や思想──つまり、宗教や民主主義、人権など──を表明すれば、投獄されかねません。この国の人たちは、広範な監視と検閲の下で生きているのです。

アメリカは自由、民主主義、法の支配という価値に基づいて、他の民主主義の国々と連携し、中国共産党による侵略を阻止しなければなりません。そうしたことをトランプ大統領は主導してきましたが、他の国々も、この戦いに参画するべきです。

これは、私たちの未来を賭けた戦いです。不正義との戦いに立ち上がることは、簡単なことではないです。私は、それを知っています。それは、トランプ大統領であっても同じことでしょう。しかし、彼は戦い抜くための勇気を示してくれています。

私たちは、トランプ大統領を支持し、投票して、彼のために戦う必要があります。それは、世界のための戦いでもあるのです」

また、陳氏は、この演説と合わせて自身のツイッターで、以下の内容も公開した。中国共産党政権がコロナ・パンデミックの脅威を世界的に拡散させたことに言及して、トランプ以前のアメリカの歴代政権での対中融和政策が、独裁的な政治体制による危険を助長させたことを指摘している。

「中国共産党は権力と統制を強化して、法や人権を無視しています。数えきれない活動家たちが行方不明となり、自宅軟禁とされています。強制収容所にいるウイグル人たちが、悲惨な苦境にあることを考えてみてください。

国外では、中国共産党は国際条約も国際規範も無視しています。香港の権利を踏みにじり、貿易取引では不正を行い、台湾に脅威を与え、世界保健機関(WHO)を悪用しています。

中国から始まったコロナウィルス・パンデミックと、中国共産党による隠ぺい工作は、世界中で数多くの死者を発生させ、社会の大混乱を招く結果となりました。

それと同じように、中国共産党ウィルスは、世界の人々にとっての脅威となっています。オバマ・バイデンの政権を含めて、これまでの政権が行ってきた融和的な政策によって、中国共産党が国際社会のさまざまな側面に浸透し、蝕んでいます。

中国共産党は外交を通じて、中国の権威主義的な構想に他国を従属させようとしています。

中国共産党は、アメリカや他の民主主義の国々が、経済的な報復を恐れて中国の意思に屈するときが来るのを待ち望んでいるのです」

(藤井幹久・幸福の科学国際政治局長)

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