2018年10月号記事

第72回

釈量子の志士奮迅

幸福実現党党首

釈量子

(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。

釈量子のブログはこちらでご覧になれます。

https://shaku-ryoko.net/

「認知症でも安心な街」と「留学できる離島」

「政治は、可能性の芸術だ」という言葉があります。しかし今の日本の政治にそうした創造性を感じる人がどれだけいるでしょうか。

全国各地で耳にするのは、人口減少や高齢化、年金の心配など先行きの不安です。また国会で繰り返される不毛な議論や官僚の不祥事も、この国に漂う閉塞感を色濃くしています。実際、この国はあらゆる面で限界に直面していると言えます。

ところが、都会から遠く離れた「課題先進地域」では、なかなか面白い取り組みがなされているので、要注目です。

認知症でも生きがいを

大牟田市の路上に立てられたのぼり

福岡県大牟田市は、高齢化率が35%と、10万人以上の自治体としては日本で二番目に高い市です。高齢になれば、誰でもなる可能性があるのが認知症。日本では65歳以上の7人に1人、予備群を入れると4人に1人が認知症と言われます。

ところが同市は、その不安を逆手にとって「安心して徘徊できる街づくり」を行ったのです。最近は「徘徊」という言葉は使っていないとのことですが、徘徊を「駄目なこと」とは決めつけず、「住み慣れた地域を自由に歩きたい」という、誰もが願う気持ちに寄り添い、地域で見守る仕組みをつくったのです。

毎年9月に行われる「認知症SOSネットワーク模擬訓練」も、全国からの視察が絶えません。認知症の人が行方不明になったという想定で、通報、連絡、捜索、発見、保護に至る情報伝達の流れを訓練しています。

小中学校でも、絵本などを通じて認知症への理解を進め、優しく声をかける方法を教えています。

こうした発想の原点には、健康福祉課の担当者たち、地域住民たちが「認知症になっても夢や生きがいを追えるような街づくりを」という志を共有したことにありました。

徘徊は、行方不明や死亡事故につながりかねない深刻さをはらみます。しかし、だからといって家畜のようにチップを埋め込んで監視するような未来は誰も望みません。逆に、誰もが家族のように思いやりを持って声をかけ合う地域づくりができたなら、それは一つの理想社会だと思います。

留学で若者増の離島

海士町の公立塾「隠岐國学習センター」

島根県・隠岐諸島にある海士町は、北海道の夕張市同様、財政破綻目前と言われていた自治体でした。

2002年、民間企業から転身した山内道雄町長(当時)が当選。「平成の大合併」の嵐の中、単独町制を選択し、島の生き残りをかけた戦いを始めます。役場を「住民総合サービス株式会社」と位置付け、「よそ者、若者、ばか者」を受け容れた地域活性化を進めます。

そんな中で生まれた逆転打の一つが、「島留学」。廃校寸前だった隠岐島前高校の「魅力化プロジェクト」により、島外から子供を呼び寄せるようになりました。その結果、2008年度に89人だった生徒は2018年度に184人へ。連携した公立塾「隠岐國学習センター」では、「夢ゼミ」といった独自の授業を行っています。

視察の際、女子生徒に「学校はどう?」と声をかけたところ、目を輝かせながら「楽しい!」と元気に答えてくれました。

こうして、斬新なアイデアを生み出す若い世代が集まり出し、海士町では10年間で400人もの移住者を呼び寄せるという奇跡が起きています。

その他、各地で「面白い」地域づくりに成功しているところは、比較的小さな自治体が多いです。小回りの効く規模で、リーダーシップを発揮しやすいのだと思います。

共通しているのが「意識改革」です。行政から住民まで、国に頼らず、「自分たちの地域の未来は自分たちで切り開く」という気概が、未来を拓くのです。

国がなすべきことは何か

国政も、未来に向けて本気で取り組まねばなりません。既存の政治の延長線上ではなく、不可能思考から解き放たれた政治家を選び、国家レベルの「逆転の発想」を次から次へと打ち出すのです。

例えば、「減税」。大胆な減税政策で、日本の隅々の企業を元気にするべきです。「交通革命」も急務です。自動運転は当然のことながら、車は空に飛ばしましょう。東京と大阪を1時間で結ぶリニア新幹線の次は、「東京とニューヨークを2時間で」を合言葉に、宇宙を飛ぶシャトルで結ぶというのはどうでしょう。幸福実現党の描く、未来の青写真は無限です。