《本記事のポイント》

  • 世界最大の海軍演習が米ハワイで行われ、日本も地対艦ミサイルの演習に参加
  • 演習には、中国を警戒する東南アジア諸国の参加が増え、派遣規模も拡大
  • 招待を取り消された中国は、情報収集艦を派遣して"対抗"

米ハワイで実施されている世界最大規模の海軍演習「環太平洋合同演習(リムパック)」(米海軍主催)で、同演習では史上初となる地対艦ミサイル部隊による標的演習がこのほど行われ、日本からは陸上自衛隊が参加したことが、14日付朝日新聞に報じられている。

6月下旬から8月初めまで行われるリムパックには、約2万5000人の兵力と52隻の艦船、約200機の航空機など、26カ国が参加。日米韓などの常連国に加え、ブラジル、イスラエル、スリランカ、ベトナムが初参加し、反中派のマハティール首相が誕生したマレーシアは初めて軍艦を派遣した。

参加国の陣容を見ると、中国の南シナ海の軍事拠点化などに対抗して、アジア諸国の参加が増え、その派遣規模も拡大している。上記の地対艦ミサイルの演習も、中国の海洋進出を念頭に置いたものだが、リムパック自体が「中国への警戒心」を強めていることが分かる。

やはりやってきた……。中国が演習を監視

対する中国は、トランプ米大統領から招待を受けていたものの、演習直前の5月下旬、招待が取り消された。理由は、先述の「南シナ海の内海化」にある。

しかし、中国は手をこまねいているわけではない。案の定とも言うべきか、2014年のリムパックに続いて、今回も中国海軍の情報収集艦を付近の海域に派遣し、演習を監視していたのだ。

狙いは、26カ国から発される信号や電波などを傍受するためだが、このような参加国の不信を買う行為に出るのは、もちろん、中国だけ。これには、チリ海軍の司令官が「演習に参加していない船の存在が、演習を混乱させるのは非常に残念だ」と苦言を呈した。

さらにオーストラリアメディアによると、中国の情報収集艦が、リムパックに向かうオーストラリアの艦船を追跡していたという。

アメリカの同盟国が中心となって参加するリムパックは、仮想敵国の中国を排除したことで、あるべき姿に戻った。だがその中国は、海軍のマナーを破ってまでも、執拗に情報を得ようとしている。中国の狙いは定かではないが、中国の好きなようにさせてはならないだろう。

(山本慧)

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