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《本記事のポイント》

  • ポンペオ米国務長官が「北朝鮮が核放棄すれば体制保証」という交換条件を示した
  • そうなれば日本は北朝鮮のミサイルで狙われ続けることになる
  • トランプ米大統領の本心は「北朝鮮くらい、日本が何とかしてほしい」

北朝鮮の金桂冠第一外務次官は16日、「トランプ米政権が一方的な核放棄だけを強要しようとするなら、われわれはそのような対話にもはや興味を持たないだろう」「米朝首脳会談に応じるかどうか再考せざるを得ない」との談話を発表した。

アメリカに対して、交渉に臨むハードルを上げたわけだ。これに対し、米国務省の報道官は、米朝会談の準備を進めていると発表している。

約1カ月後の6月12日、史上初の米朝首脳会談が予定通り行われ、「北の体制保証」で合意が成立となったら、日本はどうなるのか。この日は、奇しくも、レーガン大統領が東西ベルリンを隔てる壁を指して、ソ連に向けて「この壁を壊しなさい」と、有名な演説を行った日だ。その2年後の1989年、ベルリンの壁が崩壊し、冷戦終結へとつながった。

では、米朝会談は同じような結果、つまり北朝鮮の崩壊をもたらすのだろうか。

非核化だけでは日本は危ない

ポンペオ米国務長官が13日の米フォックス・ニュースのインタビューで語った内容からすると、その可能性は限りなく低い。ポンペオ氏は、「北朝鮮が核放棄をするなら体制保証をする」という交換条件を示したのだ。つまり、非核化さえすれば"金王朝"が存続することになる。

このような交換条件は、同盟国日本から見れば、極めて問題が多い。

「非核化すれば体制保証」という交換条件を北朝鮮が受諾すれば、日本のほぼ全域を射程に収める中距離ミサイルや短距離ミサイルなどは議論の俎上にさえ登らない可能性もある。つまり、中距離ミサイルを保有する金王朝が、日本の隣に永続的に存在することになる。

日本は、ミサイルが連射された場合に、PAC3とイージス艦の二段構えで撃ち落とすというミサイル防衛システムを採用しているが、日本全域を守れるわけでもなく、連射に耐えられるものではない。

そもそも非核化さえ、完全に行われるのは難しい。アメリカは、「完全かつ検証可能で、不可逆的な核廃棄」を実施するとしているが、設計図や技術者、科学者が残れば、いつでも核開発を再開できてしまう。

過去にアメリカが非核化させたリビアとは違い、圧倒的に核関連施設の規模が大きい。衛星だけでなく、人的な諜報による検証が必要なため、すべてを検証可能な状態にするには、10年かかるとも言われている。

もしも在韓米軍撤退となったら?

さらに、米朝が合意すれば、韓国の文政権と北朝鮮が平和条約を結ぶ可能性もあるが、そうなれば、在韓米軍はその存在意義を失う。在韓米軍の撤退は、トランプ大統領の持論でもあり、朝鮮半島の緊張が緩和すれば、米軍はいずれ撤退する。

米軍や国連軍が韓国から完全に撤退するとどうなるか。韓国軍だけで防衛することになるわけだが、北朝鮮は国内全域に約1000発のミサイルを配置し、ソウルを射程に収めている。これまで嘘をつき続けてきた北朝鮮が、平和条約を結んだとしても約束を守るとは思えない。

また、大量の化学兵器や生物兵器によっても、攻撃が可能だ。北朝鮮は、約8000トンの化学兵器を保有すると推定されており、その生産量は世界一とされる。この兵器を使って、日本や韓国を攻撃することができるにもかかわらず、アメリカは北朝鮮との会談を成立させるために、化学兵器・生物兵器を議題にしないとしている。

米軍撤退と同時に、短期決戦で韓国が占領される可能性があるのだ。そうなれば、北朝鮮による朝鮮半島の統一という悪夢が実現する。

必ずしも、恒久的な非核化ができない可能性もあるのに、中距離ミサイルを保有し、かつ、在韓米軍の規模が縮小するか撤退すれば、共産主義が朝鮮半島を覆う。それは、日本の防衛ラインが38度線ではなく、対馬海峡に変わることを意味する。対岸の火事ではないのだ。

大川隆法幸福の科学総裁は、金正恩氏の守護霊霊言を今年3月に収録したが、その中で金氏の守護霊は、「韓国を取り、韓国と合同して、次、日本を取るというのが、やっぱり、基本のセオリーですね」と、日本侵略の意図を明かしていた。まさにそのシナリオが実現する可能性が高まるのだ。

米朝会談の日に日本はどう臨むべきか

さて、このような事態を日本はどう考えるべきか。戦後日本は、経済成長を優先し、国防はアメリカ任せの態度を貫いてきた。オバマ前米政権が北朝鮮に対して「戦略的忍耐」という政策をとれば、日本も「忍耐」という戦略があたかもベストであるかのように、北朝鮮のミサイルや核開発を放置してきた。

このような無責任な態度の積み重ねが、現在の危機的状況を招いている。トランプ政権が示した「体制保証」という交換条件は、逆に、そうした日本に独り立ちの機会を与えてくれるチャンスと見るべきではないか。

大川総裁は昨年12月に発刊した著書『繁栄への決断』でこう述べている。

私は、『トランプ氏によって、中国の軍事的な拡張主義を封じ込められる』と見ているので、日本固有の問題としては、米国の経済戦略と協調しながら、日本独自で北朝鮮の軍事的脅威を封じ込められる程度の防衛力は持つべきではないかと考えます。

トランプ氏の頭のなかにも、おそらく、そういう考えがあると思うのです。『中国本体は大きいから、日本だけではさすがに無理なので、アメリカのほうでしっかりと封印するけれども、北朝鮮ぐらいは、日本でどうにかしろよ』というところに本心があるはずです

つまり、本来ならば、北朝鮮ぐらい、日本が自分たちでなんとかしなければならなかったのである。

さらに、大川総裁が今年4月28日に収録したトランプ大統領の守護霊霊言において、トランプ氏守護霊も、「自分の国を自分で守らなくてはならない。そうでなければ北朝鮮に支配されてしまう」と語った。また、本欄でも報じた、トランプ氏が安倍晋三首相に対して、憲法9条改正と核装備、空母の保有を要求したという件についてトランプ氏守護霊は「当然です」とした。

そもそも主権とは、自主的な判断で国家が政策を決めて行動が取れることを意味する。日本が主権国家と言えるためには、アメリカの意向がどうであれ、日本として、北朝鮮の脅威のレベルを自主的に判断して、拉致問題も含めて独自の防衛政策を持つことができなくてはならない。

「核武装も辞さない」と宣言をすることも含めて、政治家は、国民の生命、安全、財産を護るための気概を示すことが必要である。そうでなければ、日本人に主権があるとは言えないだろう。

(長華子)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『司馬遼太郎 愛国心を語る』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2031

幸福の科学出版 『守護霊インタビュー トランプ大統領の決意』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2035

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2017年12月25日付本欄 「北朝鮮の国民は、民主化を望んでいる」脱北者インタビュー

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